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ナヅキ、聞こえる?
どうか信じることをやめないで。
それだけが僕達の願い、世界の願い。
君が信じることをやめない限り、世界は君に微笑むから。
強い思いは君を守る盾にも、道を切り開く剣にもなる。
忘れないで、信じることを。
お願い、ナヅキ…。
「…。」
また、あの夢だ。
姫宮那月こと那月はベッドの上で大きく背伸びをすると溜め息を零した。
那月はここしばらく同じ夢を見ている。
何も見えない真っ暗な闇の中で知らない声が縋るように自分に語りかける。
何度繰り返し見ても夢がその先に続くことはない、返事をしようとした直前で目覚めてしまうのだ。
いつもながらなんて歯切れの悪い夢。
那月は再び溜め息を零すとベッドから降りてもやもやした気持ちを吹き飛ばすように元気良くカーテンを開けた。
おはよう世界、そしてさよなら
(まさか平凡な日常がこれで終わりだなんて誰が思うかしら?)
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