一角「お前、これからどうするんだよ?」
姫衣は一角に言われて少し唸ったあと、にやっと笑った。
姫衣「隊長と合流するよ」
一角「隊長と?」
姫衣「そろそろ、一護と会いそうな気がするから」
一角「…お前の勘は当たるからなぁ。
隊長によろしく頼むぜ」
弓親「もし、おこぼれが貰えそうなら君も旅禍と殺り合ってきなよ。
美しい顔に傷がつかないよう、気をつけて、ね?」
二人の言葉を受け止めて、姫衣は頷いた。
四番隊を後にして、屋根に上がるとすぐに霊圧を感じた。
更木隊長と、一護の霊圧だ。
姫衣は懺罪宮へと急いだ。
姫衣「やちる副隊長!」
やちる「あ、めいめい!」
やちるの隣に行くと、更木の霊圧が格段にあがった。
な、なんて霊圧なの。まさか、更木隊長が、眼帯を外したの…?
やちる「剣ちゃん、すっごく楽しそうなんだよ!」
姫衣「あぁ…ほんとですね」
下をのぞき見て、姫衣の口から漏れたのは感嘆だった。
心底嬉しそうに戦う更木隊長を見たのは久しぶりだった。
てっきり、一護はあっさり殺されてしまうんじゃないかと思っていた。
しかし、以前に見た時とは別人のように強くなっている。
「草鹿副隊長殿!!緊急伝令です!」
やちる「うん、あとで」
「は…?し、しかし、この度の伝令は山本総隊長、日番谷十番隊隊長の連名による一級伝令で…」
やちる「うん、だからあとでね」
「それでは困ります!副隊長殿!!!火急的速やかに、全隊長、副隊長にお伝えせよとの」
あ、まずいな…やちる副隊長キレちゃうぞ。
副隊長への伝令だから、口は出さないでおこうと思ったけど…。
やちる「うるさいなぁ!!!!剣ちゃんが戦ってるんだから、邪魔しないで!!!!」
本気で殺気を放つやちるに、伝令は尻餅をついて怯えてしまった。
まぁまぁとやちるを宥めながら、それとなく更木の戦いへ集中させておいて、すっかり腰が抜けてしまった伝令へ歩み寄る。
姫衣「四席の桜木です。今、うちの隊長も副隊長もご覧の有様なんで、私が代わりに承ります」
「そ、そういうことなら…。
今朝方、五番隊隊長である藍染隊長が…遺体で発見されました」
姫衣「……………わかりました。
後で、うちの隊長と副隊長には、私からしっかりと伝えておきますので」
伝令はあまりにあっさりと事実を受け入れた姫衣に少々面食らったあと、自分の仕事を思い出してさっさといなくなってしまった。
やちるに目を戻すと、引き込まれるように戦いを見ている。
その時、すさまじい霊圧がぶつかり合った。
…これで、勝負が決まった。そう感じさせる、決意のこもった一撃だった。
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