「おーれーんーじーいーちーごー」
「うるさい」
「一護、授業サボって何やってんの?」
「それならお前もサボりだろーが」
「あはは。まぁそーなりますかな」
「何じゃそら」

今は、三時間目の授業時間。そんな時間帯、屋上に2つの影があった。

「で、何で一護はこんなトコでサボってんの?」
「…お前がいないから探しにきたんだろうが」
「あ、なるほど」
「なにやってんだこんなとこで」
「え?一護のお迎えを待ってたんだけど?」
「…恥ずかしい事平気で言うな」

恋人同士の人は、現在屋上でサボっている。一護は寝転んで空を見上げていた。ケイはそんな一護を覗き込むような形の姿勢をとっていたが、ゆっくり一護の隣に移動しと、そのまま一護と同じように寝転ぶ。

「いい天気だねぇ、一護」
「そうだな」
「ねぇ、一護」
「ん?」

「3ヶ月、おめでと」

にっこりと笑っていうケイに、一護は一瞬ぽかんとしたが、続いて慌てたように起き上がった。

「え、今日記念日!?」
「そだよ」
「…まじかよ」
「どうせ忘れてたんでしょ」
「…」
「今回の記念日にはプレゼントくれるって言ったくせにね」

にやにやと笑うケイに、一護はうっと言葉に詰まった。それは前回の記念日に一護がケイと約束したこと。

『来月の記念日にはなんかプレゼントしてやるよ』

そしてまあその約束を、一護は見事に破ったわけで。

「ま、所詮一護の約束事だもんねぇー」
「所詮って何だよ!」
「信用した私が馬鹿だったよー」

ケイは茶化すように言った。言い返せない一護は、逆ギレするしかない。

「そんなに信用ねぇんなら初めからそんな約束させんなよ!」
「約束してくれるって言ったのは一護だよ?そのくせに人のせいにしようってのはおかしな話じゃなーい?」
「ぐっ…」

逆ギレすらろくに出来なかった一護に対して、やーいやーい!とからかうケイ。

「あーもう!うっせぇ!」
「わ、苺が怒った!オレンジ色の苺が怒った!」
「苺じゃなくて一護!しかもオレンジ色の苺って何だよ!」
「っは」
「鼻で笑ってんじゃねぇ!!」

付き合いたての頃はもうちょっと可愛げがあったのに、3ヶ月に人はこんなに変わってしまうものなのか、と一護は思った。しかしそれでも好きなことに変わりはないので、これもまた困ったものである。いつまでも一護を小馬鹿にしたようなケイの態度に腹が立った一護は、むしゃくしゃしたままケイを無理矢理抱きしめた。

「わーお、今日の一護はえらく積極的だね」
「いいから黙ってろ」
「んー?プレゼントの謝罪でもしてくれるのかな?」
「…」

ケイが諭すように言うと、しばらく一護は黙ったままだったが、小さな声で言った。

「…悪かった」
「よろしい」

ケイは一護の背中にそっと手を回すと、しっかりと抱きしめ返した。背中からじんわりと伝わる、ケイの温もり。

「じゃあ一護、一個だけお願いきいてよ」
「なんだよ」

「3ヶ月おめでとうって言って、キス、して」

腕の中から聞こえた発言に、一護は一瞬固まったが、すぐに苦笑する。しばらくケイには勝てる様子はないようだ。腕の力を少し緩めて、見上げるケイの唇に、そっとキスをする。

「…3ヶ月おめでとう」
「うん、おめでとう」

そして2人で笑いあうと、再び影は1つになった。



大好きな君へ
(俺から離れんなよ)
(来月プレゼントくれたら考えてあげる!)
(お前なあ…)


2006.02.28
2011.09.19 修正


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