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※裏
“してほしい”
つまり、“そういうこと”なのだろう。
確認のように、そっと名前を引き寄せ、柔らかな唇に唇を重ねる。
名前はキスを受け入れるように、行為を受け入れるように薄っすら唇を開いた。
くちゅ、と唾液音を響かせ、彼女の口内へ舌を侵入させる。
小さく柔らかい舌が嬉しそうに跳ね、私の舌に遠慮がちにそれを絡めた。
嬉しそうなのに、遠慮がち、その矛盾に思わず笑みを溢す。
より深く口付けてやれば、私の胸元に当てられた手が、きゅ、と服に皺を作った。
嗚呼、愛おしい。
頭の中を、いや、体中を支配するこの感覚に眩暈にもにた何かを覚え、彼女を組み敷くように上に覆いかぶさった。
どちらのものかわからない唾液が二人の唇が離れるのを惜しむかのように銀の糸を引く。
「怖くはないかい?」
聞くのは、愚問だと思えるくらい蕩けた表情を名前は、こくりと頷いた。
わかっていた返事に、私は笑みを溢した。きっと、とても満足げな笑みを。
わざとリップ音を響かせ、唇にキスを落とし、そのまま首筋へと移動する。
名前はその間、小刻みに体を震わせ、言い知れぬ感覚に耐えていた。
「出したいのなら、声を出してもいい…嫌になったら、私を殴ってでも止めてくれ」
そうでもしてくれないと、止まれそうにない。
言葉を飲み込んで行為を続ける。
白い首筋に小さな花を咲かせながら、ゆっくりとシャツを捲り上げる。
もともと、下着はつけていないのは知っていた。
二つの丘陵が顔を出し、片方を下から優しく揉み上げ、もう片方の突起に吸い付いた。
ビクリと名前の体が跳ね上がる。
「あ、ふ…」
自慰ではきっとここまで胸で反応することは無いのだろう。
少し意地の悪いことがしたくなり、歯を立ててみる。
「あ、んっぅ…」
柔らかい舌から歯という硬い刺激に体を震わせる。
蕩けた瞳には何が映っているのだろうか。
過去の男達を思い出しているのだか。
私を思ってくれているのだろうか。
真意がわからないまま、乳房を揉んでいた左手を下腹部に下げる。
私は顔を上げ、右手を彼女の顔の横につき、屈むようにしてまたキスをした。
どうやら、私はキスが好きらしい。
左手が下腹部に到着し、そのまま服の中に進入させる。
薄い布越しに手を這わせれば、十分すぎるほどの湿り気を指先に感じる。
「はずか、し…」
「随分、感じてくれたんだね」
正直私も限界に近いが、このまま脱がし挿入なんて、それこそ過去のレイプ犯と同じじゃあないか。
はやる気持ちを抑えながら布をずらし、改めて指を這わせると、互いの呼吸音の他にくちゅくちゅといった水音が響く。
指を動かせば動かすほど、愛液が溢れ出す。
このままだと下着どころかパジャマまで大変なことになりそうだ。
「脱がしていいかい?」
「はひ…」
恥ずかしさのあまりか、名前はうまく呂律が回っていなかった。
下着とともに服を脱がせば、目に見えて糸を引いていて、ぞくりと奮える。
露になった密壷にそっと指を這わせれば、ぐぷっと音を立てて中指をすんなり飲み込んでしまった。
つい言葉で彼女を攻めたくなったが、それで嫌われるのも困る。
なんとっても今回が彼女とのはじめての“行為”なのだ。
彼女のすべてを知りたい、だからこそ起きたすべてを受け入れよう。
私の中指を離すまいと膣壁が、きゅん、と迫る。
しかし、指一本ではこの溢れる蜜を押さえるには不十分らしい。
もう一本指を増やせば、これもまた当たり前のように根元まで飲み込んだ。
「あ、ふ…」
漏れる声。
金切り声を上げるわけでもなく、静かに行為を受け入れて快感を得ている名前。
己の指を時折噛みながら、声を上げまいと我慢する姿。なんといじらしい。
壁をこするように指を動かせばまた体が跳ねる。
どこがいいんだい?どこが好きなんだい?
他人の体にここまで心を持っていかれるとは驚いた。
シャツは捲くったまま、体が反応を示すたびに柔らかな双球が揺れる。
球の先にある突起をつまむと、また締め付けが強くなる。
蜜に溢れた壁をこすりあげると、あるところでとても彼女が反応することがわかった。
ああ、ここが君の“いいところ”か。
わざとそこははずし、そっと中を掻き混ぜる。
秘部にそっと顔を寄せ、陰核を舐めてやると大きく痙攣しながら彼女は果てた。
指を咥えていたので声が聞けなかったのは非常に残念だが…
私は、名前の蜜壷から一旦指を抜き、それを舐める。
嗚呼、美味しい。
「よしかげ、さ、そんなとこ…汚いです…」
「そうかい?私はそうは思わないよ。足りないくらいだ…だが、そろそろいいかね?」
すでに我慢できず先走った液で私の下着も限界に近い。
ここまで生身の人間に興奮したのは初めてだし、“さっさと終わらしたいから挿入れたい”ではなく、“一つになりたくて挿入れたい”と思うのも初めてだった。
「…っ、きて、ください」
先ほどまで自分の口に入れていた左手と、布団を握り締めていた右手を秘部に宛がい、入り口を広げる。
なんて
「なんていやらしいんだ」
反り立った自身を入り口に宛がい、そのまま一気に貫いた。
また大きく名前の体がゆれ、果てたのも確認できた。
蜜壁が迫る。きゅんきゅん、と痙攣しながら私を離すまいと締め付けてくる。
「すまない、優しくしたいんだが…」
「ん、好きに、してください」
にっこりと蕩けた表情で微笑まれては、残っていた理性もどこかに消え去ってしまう。
ぐちゅぐちゅといった水音と、腰を打ちつけるたびに鳴る乾いた音。
「あっあっあ、ん、あ゛、…んんっ」
「…っ、ふ、名前…」
下唇をかみ締め、快感に耐える姿はより私を興奮させたが…
年はとりたくないものだな。
「、名前、っ、すまない…!もう…!」
「ぁっう、はひ、あっ、な、なかにィ…、だし、」
彼女の足が私の背中に回る。
もっとこの快感を味わいたいのに、そろそろ限界らしい。
「…っ、名前…!!」
「ん、ぁああああっああああああっっぅ」
名前の奥深くに己の欲望を放ち、名前もまた果てた。
どうやら相当気持ちよくなって貰えたと見えて、私の下腹部は彼女が果てる際に放った液体ですっかり濡れてしまった。
「よほど気持ちよかったのかい?」
ちゅ、とキスをすれば名前は恥ずかしそうに目を伏せた。
「えっと、あの…はい…」
なんて幸せなんだ。なんて嬉しいんだ。
心の平穏そのものじゃないか。
結局、お互い疲れ果てて、汚れてしまった私の布団から汚れていない名前の布団に移動し眠ることにした。
朝起きて、下半身に何も身に付けていないという間抜けな状態に、顔を見合わせて笑った。
さあ、今日は日曜日。
どうやって過ごそうか?
もちろん、君と。
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