にゃんにゃんな日

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沖田さんが土方さんに連れていかれてどのくらい経ったのだろう。



きっと今頃、土方さんの雷が落ちてるに違いない。するとピカリと外が光りやはりと思っていたが雷鳴が辺りを木霊した。




音からして落ちた場所はそう近くはない。



『少し怖いけど、外に出なければ...』




千鶴は躊躇いもなく襖を開け廊下を徘徊するだけにすることにした。



庭を見ればびちゃびちゃで其なのに雨はやむ気配はなく地面を抉り続けている。



はぁ、...空気吸おうと思ったのになんかなぁ。



...っん?アレハ?




廊下の曲がり角付近でなにかが踞るように動いている。



不審に思い近づけば、



『っ、山南さん!!大丈夫ですか?』




駆け寄り必死に抱き起こすと、涙目で声を張り上げ何度も呼ぶ私に静かにしてくださいと困ったような微笑が見上げてきた。




『山南さん、心配しました。お体が優れない時に何かあるのでしたら、私にできる事はしますから...だから私に』



「...貴女にお話したいことがあります」



だから私に言って欲しい...と言う言葉は山南さんの真剣な瞳で貫かれた時には飛んでしまい私もはい。と頷くだけだった。




「コレがその薬です」


山南さんを部屋まで連れ、一通り話を聞いた。


聞いた話によると試作中の薬を服用するため、水を勝手場にとりに行くためだとか...で。



『でも、これ液体ですよね』



山南さんが木箱から出したのは濃い紫の液体の入った硝子瓶。



粒状のさらさらとした薬を水で飲むのは普通だが液状の薬を水で飲むのは可笑しい、よね。



ちらりと視線を向き合い正座をしている山南さんに向けると苦笑が返ってきた。



「貴女が思っている事は分かりますよ。...自信がないんです」


そう言い目線を反らし口を閉ざす彼に、私は気付いてしまった。



山南さんはこの薬に少なからず不安を抱いているんだ、...と。



多分、薄めて効力を下げるというか調整しようと思っているのだろう...だが液状の薬を薄めるなんて。


またしても私の心を覗いたのだろう山南さんは自嘲しながらその小瓶を手に取った。



「やはり、貴女も思いますか。薄めて服用なんて...楽観的ですかね」



寂しげに笑うと、...まぁ、調合した材料には羅刹のように血を求めたりなど酷い副作用はないのですが、と説明されると山南さんは千鶴の前で瓶の蓋を外す。



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