乱れ酒

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何故、総司がこんなにも美しく思えてくるのだろうか...。


「ねぇ、一くんまだ飲むの?...もう止めた方が」


「俺は大丈夫だ...あんたもまだ飲めるだろう」

少しも酔いの色を浮かべず涼しい顔で酌を要求してくる斎藤に焦りを隠すように沖田はなみなみに酒を注ぐ。


先程から会話などほぼなく互いのペースで酒だけを仰ぎ続けていた。


もう、僕は限界なんだけど...。

其ほど酒に強くないのだが、真正面では杯を口に運ぶ豪酒な斎藤に負けじと、味のしなくなった水を喉に流し込む。


どうしてこうなったのか?...なんてどうでもよくて...僕、と言うか今は私か。


だって誰かさんの薬を誤って飲んで今は身体が女...なんだよね。勿論、誰かさんってのはあの研究好きな山南さんなんだけど...。


「一くん、顔赤いよ。流石にこれ以上はお酒だって無くなりそうだし...其れに後が怖いし。ほら土方さんの雷が落ちたりしたら...」


杯が畳に置かれる事のない状況から、酒を飲み続けそうな一くんに苦笑しながら酒を奪えば、


「うむ...そうか、なら俺の相手をしろ」


酒の匂いが充満する沈黙の中はっきり聞こえた静かな声。


えっ、一くん今...なんて?...って。


「ちょっ、待って!落ち着いてよ」


杯を置き立ち上がるなり隣に置いてあった刀を引き抜き、鞘が畳に転がった。


部屋をほんのり灯す灯りに反射する刃に、沖田は座ったまま後退した。


え、かなりまずいなこの状況...僕、刀自分の部屋だ。


緊迫した雰囲気の漂う中、刀があれば...なんて斬り合う前提に脳みそが回避案をだしてくる。


無駄だと考えを切り捨て、斎藤を見上げれば突き付けられた冷たい光を走らせた切っ先。



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