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いつもみたいに2人でテレビを見ていた。ふと、横を見ると臨也は俺によっかかって穏やかな顔をして寝ている。黒いさらさらな前髪をかきあげておでこにキスしようとした途端、玄関のチャイムが鳴り響いた。

誰だろう?ここに引っ越してきてから初めての来客だ。嫌な予感しかしない。俺は臨也をそっとソファに寝かせて玄関へ急いだ。

玄関の扉を開くと予想通りの奴が立っていた。

「なんですか?」
とりあえず冷静に問いかけてみる。
「チッ、またおまえか・・・。臨也いるんだろ?中に。会わせろ。」

「それはできません。たぶん臨也はそれを望まない。」

「ごちゃごちゃうっせーな。どけよ。あがるぞ。」

ちょっと油断した隙に思いっきり後ろに突き飛ばされた。その間にあいつはずかずかと家にあがった。やばい、そこには臨也がいるのに・・・・。俺は必死であとを追ったがもう手遅れだった。
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目を覚ますとしかめっつらの津軽がいた。
「おい!起きろよ!いつまで寝てんだよ!」

「んん〜っ津軽?どうしたの?」

「津軽じゃねーよ!俺だよ!静雄だ。」

「えぇ!?な、なんでシズちゃんがこんなところに?」

嘘だろ?見慣れたバーテン服を視界にとらえた瞬間、俺の眠気は吹っ飛んだ。

せっかく忘れることができそうだと思っていたのに・・・・。なんでこんなとこにまで来るのさ・・・。これ以上俺を振り回さないでほしい。シズちゃんを見てるとあの苦い経験が思い出さされせて手が震えた。だめだ。このままシズちゃんといたらおかしくなってしまいそうだ。

「か、帰ってよ、今すぐ・・・。」

「は?」

「俺の前から消えてよ!二度と現れないで!」
もう、泣きそうだ。声が震えてしまった。

「臨也・・・。聞いてくれ俺の話。」

だめだ。だめだ。だめだ。だめだ。
やめろ!しゃべるな!

「う、うるさい!お願いだから帰って。もう何も聞きたくない!」

とうとう堪えきれない涙が溢れてきた。肩を震わせながらシズちゃんを睨みつける。
殴ったりとかされるのかと思ったけど、されなかった。シズちゃんは真剣な目で俺をじっと見つめている。

「臨也・・・。」

シズちゃんはそう呟くといきなり震える俺の肩を引いて優しく俺を包みこんだ。

一瞬理解できなかったが数秒後、自分が抱きしめられていることに気づいた。

「うあ、シ、シズちゃん離してよ。」

「離さない。・・・・・・臨也今まですまなかった。」

え?なんでシズちゃんが俺に謝ってるんだ?もう、わけわかんなくなってきた。

「俺、ずっと嫉妬してたんだ。あいつにおまえを取られたくなくて・・・・。おまえはあいつが好きかもしれないけど、」

「俺はおまえが好きだ。」

「えっ?」
今なんて?

「今まで本当にひどいことして悪かった。おまえがいなくなってずっと後悔ばっかしてたんだ。俺の独占欲ばかり優先しておまえを傷つけて、もっと他に方法があったはずなのに自分を見失って。」

「許してくれないか。俺はおまえともう一度ちゃんと向き合いたい。やり直したいんだ。」

いきなりの告白に頭がついていかない。話の内容からするとシズちゃんが嫉妬している相手は津軽ってことか。でも、シズちゃんが俺のこと好きって・・・・。本当なのかな?

「嘘・・・・・。」

「嘘じゃねーよ。ほんとはおまえが告白してくれた時すげえ嬉しかった。」

「ほ、ほんとなの?」

「あぁ、ほんとだ。」

そういって、ギュッとより一層強く抱きしめてくれた。
もう涙は止まらなかった。
ずっと俺達はお互いを思いながらすれ違ってたのか。シズちゃんの体温を身体中に感じると心がどんどん暖かくなった。
同時にシズちゃんへの好きが溢れる。一度は諦めそうになったこの気持ちもっかい信じていいのかな。

「俺だって、ずっとシズちゃんが好きだったよ。」

そういってシズちゃんの顔を覗き込むと微笑んでくれた。
もっかい信じてみよう。自分と自分の気持ちを。もう絶対に揺るがないって確信がある。だってこんなにもシズちゃんが俺を愛しそうな目で見てくれるから。

「ねえ、シズちゃん。」

「ん?」

「もっかい、好きって言って?」

「あぁ。」

「臨也。好きだ。」


そして俺達は初めてキスを交わした。

end.



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「おうたをきかせて」素敵企画に、
提出させていただきました。


あまりにも津軽が不憫なので
番外書けたらいいなって思ってます。


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