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※静雄視点

ここ最近、臨也が俺の前に姿を現さなくなった。最後にあいつの顔を見たのは・・・・。思い出したくもない後悔ばかりが残るあのセックスの時だった。俺はあの時自分の感情を抑え切れず嫌がるあいつを乱暴に抱いた。いや、犯したという表現のほうが妥当だろう。

「い、いやだっやめてっシズちゃん!痛いよ、あ"ぁ・・・シ、ズちゃあぅぁ・・・。」
あいつの泣き叫ぶ声が今も耳にこびりついて離れない。なんでもっと大事にしてやれなかったんだろう。臨也が俺を好きだと言ってくれたように、俺も臨也が好きだった。けど俺はあいつのその言葉を信じることができなかった。
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1ヶ月前のことだろうか
臨也に告白される前に俺はあいつが俺そっくりな奴と一緒に歩いているところを見た。俺には絶対見せないような笑顔で歩くあいつを見ていると無償に腹が立った。そういうことか・・・臨也は俺そっくりのあいつが好きなのか・・・人目でわかる。時折頬を染めはにかむ姿はまさに愛しい人に向けるものだった。あいつは俺を身代わりにしようとしたのかもしれない。そう思うともう俺は怒りをおさえられなかった。

そうして、告白された日に同意も取らぬままセックスをしたというわけだ。俺の自分の気持ちを伝える気はさっぱり失せていた。臨也はあいつのことが好きかもしれないが俺は臨也が好きだったから、心が俺に向けられないなら身体だけでも欲しかった。1度きりにしようと思っていたのに臨也は2度目の俺の呼び出しにも応じた。それで俺は臨也は俺に身体の関係しか求めていないことに気づいた。セックスの最中あいつは俺を切ない目で見る。きっと俺を俺とそっくりなあいつと重ねて見ているんだ。そう思うともう俺は自分を止められない。気がつくといつもボロボロになった臨也が真下にいるのだった。それと同時に襲ってくる罪悪感、俺は臨也のことを大事に思っているのにいったい何をしているんだ。理性が働く頃にはすべてが手遅れでどうしようもなかった。
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自分の過去の行動を振り返ると本当に後悔することばかりだ。独占欲と嫉妬心にのまれ自分を見失い、大事な人まで失ってしまった。たぶん、臨也は俺の前に二度と顔を出さないつもりでいるのだろう。もう会えないのか?謝りたいことも伝えたいこともたくさんあるのに、このまま終わらせたくなんてない。

俺はいつのまにか最後の一本になっていた吸いかけの煙草を灰皿にこすりつけ、家を出た。俺が知らないどこかにいるであろうあいつを探すために。

 

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