おいおい嘘だろ、とお間抜けな独り言が溢れた、時すでに遅し、エレベーターはがっくんと揺れて下降をやめた。連打する緑のボタン、通じないのはもはやお約束である。


「である、じゃねぇよ!」


おもっくそ鉄の扉を蹴り飛ばしてみても、びくともしないどころかむしろ蹴った私の足の方がダメージを被った。ちくしょう、と喉元で悪態をつく。だってなにが一番困るかって、


「まあそう荒れたってどうしようもないだろ」


この、なんの役にも立たなそうなおっさんである。ぽりぽりと無精ひげを掻くのんきな上司と、まさかこんな少女漫画な展開が待ち受けていようとは誰が思うだろうか。いや、私は少なくとも思わなかった、だって今まで全身全霊で避けまくってたもん。いつもならエレベーターなんか健康のために乗らないでいたのに、たまたまどうしてもって瞬間天罰が下るなんて神様って奴はどんだけ私が嫌いなんだ。まじめに生きてきたってのに。死ねばいい、いやむしろこっちが死にたい。文句ならそっちで聞くから、神様今ここで首をくくってもいいですか。地獄にいったらごめん。


「くくるもんないだろ」
「…なんか貸してくださいよ返せないけど」
「それじゃだめだ。はっはっは」


な に が お か し い !






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