可愛いお強請り



まだぐっすりと眠っている愛しい子をじっと見下ろす。
あどけない顔をして眠っている姿は、まだ本当に子どもなのだと痛感させられる。
安心しきって眠っている子どもの髪を梳けば、きっと起きてしまうだろう。そう分かっていても、触れずにはいられなかった。
案の定、うっすらと目が開かれた。


「…………ス…」

「え? なに?」

「…キスは…?」



掠れた声で聞いてくるカカシに、目を見開く。
寝ぼけているのだろう。だが、細い腕が延ばされて肩に触れる。力のこもらない腕は引き寄せる事もなく、まだ眠たげな瞳がたじっと見つめているだけだ。
寝ぼけていても、珍しいお強請りにゆっくりと唇を近づけていった。
そっと触れる柔らかい唇。
触れるだけで離れていけば、もっとと強請られた。珍しい事もあるものだと再び唇を重ねれば、柔らかいものが侵入してきた。それに応えるように絡めてやれば、んっ…と小さな声が漏れる。
唇が離れていくと満足したのか、にっこりと微笑んで夢の中へと還っていった。


「…ったく、目覚めた時この事を知ったら、君はどんな反応をするんだろうね…」


その反応が手にとるように分かり、クスクスと笑う。明日の朝が楽しみだとカカシを抱きしめ直し、自らも夢の中へと堕ちていった。





12.02.27






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