迷
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◆陣営 : Justice
◆名前 : 迷 (マヨイ)
◆性別 : 男
◆年齢 : 22
◆身長 : 170cm
◆体重 : 軽い
◆血液型 : AB
◆ステータス
【HP/7(+3)、攻撃/5(+10)、魔適/6(+29)、耐久/5(+3)、魔耐/4(+14)、敏捷/5(+6)】
◆装着スキル / SP : 300(+380)
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個人ページ
◆概要 :
茶髪紫眼。穏やかな笑みを湛えているが、どこか感情が抜け落ちているような印象を与える。
踝ほどまである髪を後ろでひとつにまとめている。
シンプルなシャツとズボンを着用し、大きめのコートを肩にかけている。
首には包帯が巻かれている。
短命の家系に生まれ、急な気温差など環境変化に対する適応が難しい。
疲れやすい体質でもある。
穏やかな口振りではあるのだが「どこかがおかしい」。
独占欲が強い一面があり、害を与えかねないものについては即座に排除しようとする。
親しい間柄の者に言われたことであれば疑わず信じてしまうことも。
利き手は右。
一人称 : 「僕」
二人称 : 「君」、「(名前・苗字)」+さん、くん、ちゃん付け、呼び捨て
記憶を思い出そうとしても思考が途切れてしまうことを不思議に感じている。
焦りも不安もなく、ただただ何故だろう、と思うだけである。
案じるだけ無駄だと考えているのかもしれない。
◆返還記憶-----
僕と二つ離れた弟と、綺麗な赤色の髪をした青年が、
僕を置いて、いつの間にか、仲良くなっていたらしい。
取り残されたような感覚に、僕は、
心の中から感情を奪ってしまえたらいいのに、
彼らの仲を奪ってしまえたらいいのに、
彼らから幸せを奪ってしまえたらいいのに、
彼の居場所を奪ってしまえたらいいのに、
その心を奪ってしまえたら、
だって、それはいらないものだ、
いらないものを奪ってしまいたいと願っていたら、
僕は『それ』を一つ取り上げてしまったみたいで、彼は――
僕には、いつのまにか、奪取の能力が宿っていた。
うすい靄の中で聞いた話。
白い海と伸びる管と、規則的な電子音の囀り。
僕のからだは、とても危ないところに立っているらしい。
もう少しで桜が咲きそうなにおいがしていた。
ああ、ここはどこ。おしゃべりをしているのは、だれ 、――
夢の中は、もう、たくさんの人たちの顔が、とてもとても、曖昧、で。
おもいだせないな、 あのこの、 なまえ も、
ぼくはしんでしまうの?
「今の状態では、とても復学は」
きっとあのこも、ぼくのなまえなんて、
顔も、じきにわすれて。
僕の場所は、もうすぐ。
「母さんと、誘をよろしくな」そう言った父を、
「誘を、よろしくね」そう言った母を、
二人が煙になってのぼるまで見送った。
僕にはなんだか感覚がわからなかったけれど、
そうか、あの、どこか締め付けられるような、棘を触るような気分は、
きっと、悲しみだったのかもしれない。
僕が父や母と同じようなことになったら、
僕は弟に、もういない父と母に、
何を、――何かを、言えるだろうか。
僕はどうやら「お荷物」であるらしい。
同様に弟も「お荷物」であるらしい。
理由は、「僕達の体が、ふつうのひとよりも弱く」て、「手がかかる」から。
僕はあの人たちが隠れて僕らをどう言っているか知っている。
僕はあの人たちが隠れて僕らをどう思っているか知っている。
僕はあの人たちが隠れて僕らをどうするつもりか知っている。
あの人たちは僕が考えていることに気付いていない。
安い演技も、慰めの言葉も、少しも響かない。
ねえ、あなたたちはおとうさんが死んだとき、おかあさんをたすけてくれた?
たすけてくれなかったのに、今更どの面さげてそんなことを言うの?
あなたたちがぼくと誘のことをどう思っているか、知らないとでも思ってる?
―― それなら、少し刃向かってみようか。
ここからひとつ。
そこからふたつ。
彼からみっつ。
彼女からよっつ。
僕はいくつ、ものを奪ってきただろう。
どれもこれも僕の手元に残りもしない。
目の前の少年はなきごえを、
けれどそれも聞こえないふりをした。
「こんなもの、おまえには要らないだろ?」
僕は、少年に言う。
少年は誰かに言う。
誰かが、僕に言う。
「許さないから」
電子音とチューブと、白い色をした波の中でいつまでもいつまでも泳いでいた。
周りに人影はなかったけれど、時折だれかが岸から僕を呼ぶ声がした。
「こっちにおいで」
「そっちはいけない」
言葉の意味はよくわからなかった。
――僕を呼んでいるのは誰?
僕は殺されなくてはいけないらしい。
それもそうだろう、自分がしたことを考えれば、それはきっと当然のことだ。
だから、生きていくために必要だった全てを、自分で自分から奪った。
生きている意味さえ、もう何処にも、何もない。
殺されるのを待つだけにしようと、全部手放した。
でもそんな矢先に、それは「無」くなった。
なにをしたらいいかわからない。なにをするべきかわからない。
どうしてころしてくれないの、?
僕にはなにもないのに、もうなにもいらないのに、
こんな、擦り切れるのを待つような短いいのちも、
もう、
――くび、が、 いたい、
切り裂く音と、噴き出す音と、何かが崩れ落ちる音と、
――色々な悲鳴を、まるで音楽のようにしながら、立っていた。
べったりと血に汚れた彼は少し不快そうな顔をしていた。
終わった、と合図をして、それから、きたない、と言いたそうに瞬きをして。
僕は、自身の親戚という名の間柄だった人間を、始末屋であった世話役に殺してもらった。
親戚の放った言葉が許せなかった。それで、彼を利用した。
彼に触れようとすると、やわりと止められる。きたないから、と、瞬く。
今更思っても遅いのに、ああ、僕は自分の手を、汚すべきだったと。
君よりもずっと、僕の方がきたない。
でも、謝ったところで彼は、きっと「仕事だから」と、言ってしまうのだろう。
彼は、やさしいから。
誰かが、僕を呼んでいた。知らない声、
けれど、ずっと昔から知っていたような声が、ゆらゆらと水面に浮かんで。
見慣れた白い海で目を覚ます。
ゆっくりと宙を彷徨う視界が、赤い髪の彼を捉えて。
付き添いの看護師が慌しく去っていくさなか、彼の黒色の瞳が様子を伺った。
「……僕、何かしちゃった?」
そう返せば、彼の手が、ぽすぽす、と頭に乗せられた。
……どうして僕に優しくするの? だって僕は君を、……。
///
やがて。
彼が家に戻ると去っていき、また僕は白い海に取り残されてしまう。
少し息苦しい、どうやら首になにかが巻かれているみたいだ。
触れようとした指にも、いたるところに絆創膏や包帯が巻かれていた。
……ああ、僕は、
“また”死ねなかった ん、だ なあ。
―― いやだな、
わかっていたんだ、僕が彼を縛り付けているということ。
彼には、僕は必要がないものだということ。
僕が、いつか彼を殺めてしまうかもしれなかったこと。
それを、「彼」もわかっていたということ。
「迷、……ぼく、は、」 わかっているよ、
「僕は、迷が」 だから、そんなに怯えた顔をしないで。
――ぜんぶわかっているんだ。
「迷が、きらい」
……ほら。
何も無くなった部屋が嗤う。
(あのとき誰かが僕を呼んでいたような、)
果たされなかった約束は、血のいろを浴びている。
(やっぱり彼の、彼女の言うように、僕は、――)
情なんていらない。
さっぱりと、僕を惨殺して欲しかった。
(……どうして、)
彼は僕に告げる声を持っていなかった。
それで充分だった、余計に他者の思考を持ち込まれるよりは、……
「僕に、同情しているの」
――やっぱり、彼は何も言わなかった。
否定も肯定もない、それでいい。
それなら、……突き放してしまえる。
「ねえ、僕は、」
その言葉を、口にした瞬間。
彼の瞳が、僅かに揺れた。
だれかが、泣いていた。
そして、もうひとり、だれかがそのだれかの傍に立っていた。
僕は白い海の中にいて、規則的な音を聴いていた。
泣き声はいかないでと繰り返す、そのあたたかな手を握って、
「ずっといっしょだよ。……やくそく、」
それは、まるで自分のものではないように擦れた音だった。
泣いていたその子は、濡れた笑顔のまま頷いた。
これが、はじまり。ずっと一緒、小指を結んで。
晴れた日の夕方のこと。
どこから来たの、と訊かれて、分からないと答えた。
気が済むまでここに居てもいいと言うと、ずっといっしょ、と返ってきた。
愛している、と言うと、その「魔女」は、きみをころさなくちゃ、そう言って。
絞まる首、息が奪われていく、
ああ、僕はずっと、 ずっと、こう して 、
ねえ。
おいていかないから、ずっといっしょにいてよ、
僕は君を、――
いつも遠くから、その躁狂を眺めていた。
そのあいだだけ、静かだった街が魔法にかかったように賑やかになって。
少し、楽しかった。
そうして、魔法が解ける瞬間を、冷えた思考で見ていた気がする。
――「いつまでも」続くものなんて、きっと。
会いたいって言ったら、おかしな子ねって、笑うかな。
それとも、こんなに汚して、なんて、叱ってくれるかな。
母さん、優しいから、
僕が何をしても、「大丈夫」なんて言って、許してくれるんだろうな、
ねえ、僕、
ゆるされちゃいけない、気がしてるんだ。
自分とよく似た人が棺の中で眠っているのを見ていた。
ああ僕もいつかこうなるのかな、ぼんやりと思って。
さいごに触れた肌はつめたくて、
とてもつめたくて、
その人が涙を流すのが、当然だと思うくらいで。
何をしたってもうそのひとには会えなくて、
目を覚ますことも、
声を聞けることも、
髪を撫でてもらうこともできなくて、
明日の約束もできなく、なって。
この、硝子玉が欠けたような気持ちを、
何と呼べばいいのだろう。
僕は二人に嘘をついている。
それは、貫き通さねばならない。
見破られたら……、どうしようか。
二人はきっと「それも僕だ」と言うだろう、
彼も彼女も、とてもきれいだ。
それがとてもおそろしくて、それが、
それが、
桜の咲いた日。
僕の居場所が、消えてしまった日。
あの広い部屋のまんなかで笑っていた、あのこはだれだっけ。
この部屋には誰も来ない。
みんな僕を、知らないから。
この部屋には誰も来ない。
僕も、みんなを知らないから。
目を閉じたら、また白い波にさらわれて、
桜のにおいと、鳥に似た機械の音がして、
それから、……それから。
なんだか悲しくなって、雨が降って、それから。
それから? これは、続かないお話。
望みなんて無かったはずなのに。
ただ、ただ死を待つだけで、それで、全て終わるように、
終わらせられると、思っていたのに。
いま裂いた布の中身が舞って、――
あれ、
おかしいな。
僕、わらってる、の。
何か言葉を口にした気がした、でも、
僕はいまなんて、彼に投げたろう?
あれも、これも、なのに、なんでだろう
おかしい
おかしいなあ、
……ねむい、な、
…………。
いつ、終わらせることが、できるのだろう。
僕は、……ぼく、は、ほんとうは、
ほんとうに、…………
君の"衝動"とはなにか。
──"とられたくない"、"奪ってしまえたら"。
それは君の呪文の性質、君が操る事象の姿。
映し出されたのは、ひとつの天秤。
"必要"と"不必要"、物事に優劣をつけるその感情……。
君の"理性"とはなにか。
──上手くは言えない、思いつかない。
それは君の持つべき杖、君を律する友の姿。
君に見繕ったのは、見開いた"目"を模した無機質な白い杖。
君を律する、管理するものは"視線"だ。
ときにそれは障害となり、助けにもなる。君の理性たり得るもの。
君の"伝えたい事"とはなにか。
──与える事より、取り上げるほうが多かった。けれど、"約束"は守るべきだ。
それは君の持ち歩く呪文。君が世界へ答える解。
"君は君はたどり着けない、
ああ、なんて無力な手、檻の獣は飛び出して、
奪い取る、心臓を、抉る、どうぞ、──識って"
残酷ですらある言葉、奪い奪われるその業を呟くように、君に贈った。
君の"最も恐れるもの"とはなにか。
──救い、許されること。
それは君が、自覚すべきこと。強大な力を操るものとして、知るべきこと。
君の契約相手として選ばれた魔女は、
"君を救い解し、罪を解き放つ"呪いを持つ、「救解の魔女」。
名目上、君は彼女の僕となる。けれど忘れないで。
いつでも君は、それに立ち向かうことができる経験と知恵を携えているということ。
必要と不必要、重なり合う選択。"奪う"という、治らぬその病に冒される……、
"昏迷の魔術師"の名を、君に。
すべての知恵に忠実でありなさい。その時こそ、君は魔術師と呼ばれるのだから。