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何気ないはずの一言に反応してしまうのは、心の底でそれを理解しているからだろう。


「誰かからのプレゼント?」


クリスマスの翌日。

埋め合わせと称して呼び出され、ノコノコと待ち合わせ場所に現れた私を視界に捕らえるや否や、おろしていた私の髪を耳へとかける岸本さん。

そのピアス似合ってる、だなんて。

その言葉が私にとっては鋭利な刃物と化している事を彼は知らずに言っていると思いたい。


「……はい。昨日、貰いました」

「……親に?」

「……」

「違ぇの?」


阿佐ヶ谷くんです。

なんて事は勿論、言えない。


「…………岸本さんは、知ってるんですよね?私の、家の事を」

「……まぁ、あらかたな」

「なら、分かると思いますけど……あの人達は親じゃありません」

「……」

「……私を養ってくれている……ただそれだけの人です」

「……」

「……感謝は、していますけど、」


だからといって安易に嘘を吐けば、それを取り繕う為の更なる嘘を招く事になる。

それは酷く手間だし、面倒だ。


「……悪ぃ。もう聞かねぇよ」

「……」

「……」

「……」

「……腹減ってねぇか?」

「……」

「飯、行こうぜ」


だから少しだけうつ向いて、彼の声にこくんと小さく頷いた。


沈黙=肯
(不要な否定。それは、似て非なるモノ)

 
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