20

人が意識を失うのは、そう容易い事じゃない。

となると、その容易くない事態に陥っていた私の現状は芳しくない、という事なるのだろう。


「………………っ、」


ああ、まさか。

なんて思うよりも先に頭部を襲った衝撃は、身体中にある痛覚を刺激して私を嘲笑った。


ぐらりと揺れた視界はたちまち霞み。

ズキン、ズキン、とうなり始めた頭は元来の機能を早々に失った。


早く!ガムテープ!

そこでいいんじゃない?近いし。

用具置き場でマワされんのも案外いいかもね、能面ちゃん。

あ、興奮してる?キモッ!

じゃ、また後でね。


クスクスと止まないそれに混じって聞こえたそれは、薄ぼんやりとだけど記憶の中にある。

しかしそれが、どれくらい前に吐き出されたモノなのかが分からない。


ガムテープ!と彼女が言っていた事から、口を覆うモノと手首足首に巻き付いているモノはおそらくそれなのだろう。

手も、足も、全く動かせない。

その上、視界は薄暗く肌寒い。


花壇の手入れを始めたのは、確か三時過ぎだ。

それから数分で彼女達が来て、移植ごてで殴られて、記憶が飛んで。

見渡せる限りでの把握は困難だけど、隙間から光が差し込んでいないのを踏まえると五時は回っているように思える。

という事は、最低でも一時間はここに居たという事なのか。


「っ」


と、一つの仮定を導き出した瞬間。

ガチャン、と鍵の回る音が鼓膜を震わせた。


後悔=自
(これはきっと、嘘をついた罰ね)

 
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