中篇 | ナノ

ファンタジー


ファンタジーしようとおもって設定がら作ろうとしていたその名残です。
消すのももったいないので残す。






妖精は悪い魔女の呪いで羊に姿を変えられた。
太陽の沈む逢魔ヶ刻、野を歩いていると、羊飼いに攫われそうになる。
世界が夜に変わるその時、羊は妖精へと姿を変えた。
夜の間だけは誠の姿でいられたのだ。
羊飼いは平民に粉した王子で、羊の姿が妖精へと変わり、驚いた。
妖精はせつなげな声で、王子に助けを求める。
呪いを解く為には、金色の蚕が紡ぐ糸を真珠の糸車で絹にして、(世界で一番美しい女性の持つ)水晶の機織りでローブを織り、羊に纏わせなければならなかった。
王子はすぐにそれらを探す為、沢山の文献を読み漁り、世界中に使者を使わす。
金色の蚕は東の国にいた。
王子は金にものをいわせ東の国じゅうの金色の蚕を全て買い占めた。
次に王子は世界中の真珠を集め、そして砕き、粉にして、樹液と混ぜ合わせ、真珠の糸車を作り、繭を糸に紡いだ。
最後に王子は水晶も砕く。
しかし思うように水晶は機織の形にならず、その輝きを失って、水晶とは呼べないものになる。
これではいけないと思った王子は、また世界中に使者を遣わし、世界中の技術者に協力を求めた。
するとある技術者から、朗報が届く。
北の国の姫は、水晶の機織りを持っていると。
世界に二つと無いそれは、北の国の王家に伝わる秘宝なのだと。
それを手にするには、北の国の姫と婚約するしか無いのだと。
王子は悩んだ。
北の国は戦争にも強く、血筋もたいへん優れていて、とても裕福な国であった。
王子の国は、沢山の金色の蚕と真珠、そして失敗ばかりした水晶のせいで、崩壊寸前だった。
王子は悩んだ。
姫と婚約すれば妖精も救えるし、国を建て直す事も出来る。
だけれど、王子は世界で一番美しいといわれる北の国の姫よりも、妖精の事を愛してしまっていた。


2011.07020

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