N.W.D -稲妻11別館-


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犬しゅうやと猫ゆうと 1


「豪炎寺!」
 ニャニャッという鳴き声に四肢を投げ出していた豪炎寺がびくりと身を竦めた。
 茶色の尻尾をゆらゆらと揺らめかせて近づいてきた鬼道が、ごろごろと喉を鳴らして豪炎寺の身体に身を擦り寄せる。
 甘えてくるようなその仕草に思わず警戒を解きかけた豪炎寺だったが、ピンと立った鬼道の髭がピクピクと楽しそうに揺れるのを見て、先日の惨劇を思い出して、身を守るように身体を丸めてしまう。
「おい」
 つまらなさそうに鬼道が尻尾をぶんと揺らし、ぺしぺしと叩いてくるのにも構わず、豪炎寺はさらに身を丸める。柔らかな腹や無防備な股間を狙われないように警戒を崩さない豪炎寺に、鬼道はにやりと口許を歪めると、方針を変えたのか、ニャァと一際甘い声を上げて、ペロペロと豪炎寺の顔を舐め出した。
 ざらついた舌の感覚に最初は無表情を保っていた豪炎寺だったが、次第に、気持ち良さげに目を細めていく。
 わふ、と口から零れた声に鬼道は気を良くしたようにさらに舌を動かした。
 その動きに釣られるように豪炎寺の身体から力が抜けていく。ニャ、と一鳴きした鬼道の瞳がキランと光ったのに、豪炎寺がしまった、と身を引くより先に鬼道が豪炎寺の身体の下に己の身体を潜り込ませた。
「き、鬼道っ……!」
 わふ、という鳴き声に構わず、鬼道は目の前でだらりと下がる股間のイチモツ目掛けてニャニャと楽しそうにその手を振り下ろす。
 決して痛くはない。
 痛くはなかったが、ぺちんと叩かれた下腹部からもぞりと湧き上がる怪しげな感覚に、今日は最後まで衝動に耐えられるだろうか、と豪炎寺は顔には出さずに困ったように胸中で溜息を零して、わふん、と鳴き声を上げた。


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