N.W.D -稲妻11別館-


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残念すぎる豪炎寺さんばかりです。 2


「こんなになって…かたいな…口に入れるのは無理だ」
 夜に無理させすぎた翌日でない限り、朝は基本的に鬼道の方が早い。
 寝乱れた髪をセットすることなく、おはよう、とリビングに足を運んだ豪炎寺は、ドアを開いた瞬間、飛びこんできた思わぬ言葉に思わず足を止めた。
「起きたのか、豪炎寺」
 先刻の物騒な発言など全く気にした風もなく、鬼道が振り返る。だが、少しだけ目尻が潤んでいるように見えるのは豪炎寺の気のせいばかりではなさそうだった。
「鬼道……」
 名前を舌先に乗せた後、何と続けるつもりだったのかも忘れて、鬼道の顔を凝視する。どうしたのか、何をしているのか、何か言いたかったはずなのに言葉は音にならず、言葉に詰まった豪炎寺は名を呼んだまま口籠もってしまった。
「ああ、失敗してしまってな。温めすぎるとこんな風になってしまうなんて驚いた」
 とりあえず、口に入れてみたんだが、熱いし固いし、とてもじゃないが食べられた物ではないな、と自身の失敗に照れたように頬を赤らめる鬼道を前にして、下半身に朝を言い訳にするには少し苦しい衝動が沸き起こったのは仕方がないことだと豪炎寺は自分に言い聞かせると、鬼道の手首をぎゅっと握ると勢いよく抱き寄せた。
「な、何だ?」
 前触れなく引かれた身体は何の抵抗もなくするりと豪炎寺の胸許に倒れ込んだ。
「豪炎寺……?」
 ちらりと見上げた先には、ぎゅっと何かに耐えるように目を瞑る豪炎寺の顔があり、鬼道は状況が呑みこめないまま、身体を起こそうとして、そして足の付け根に感じる硬い感触にぎょっとしたように目を剥いた。
「豪炎寺…」
 男の生理現象と言ってしまえばそれまでだが、昨晩もそれなりに発散させたはずの熱の昂ぶりに鬼道は呆れたように息を零す。
「悪い……でも、鬼道が朝からあんなことを口にするから」
「バカっ……肉まん相手にそんなおかしなことを考えるのなんてお前だけだ」
「仕方ないだろう…鬼道が相手だったら肉まんにだって嫉妬するバカだからな」
 開き直っているとしか言いようのない恋人の言葉に朝から頭を抱えたくなった鬼道だったが、真っ直ぐに向けられる豪炎寺の愛情が嬉しくないはずはない。勿論、肉まん相手に毎度毎度妬かれては堪ったものではなかったが、そんなバカなところも含めて鬼道も豪炎寺を愛おしいと思っているのも誤魔化しようのない事実だった。
「まったく…」
 ふっと口唇の端に笑みを浮かべると、鬼道は膝を折り、そのまま床に膝をついて豪炎寺のパジャマのウエストに手をかけた。
「き、鬼道っ?」
「今朝は特別だ」
 ウエスト部分のゴムは鬼道の手に抵抗することなくするりと下げられたパジャマの下から顔を覗かせた下着を押し上げる豪炎寺のモノを布の上から鬼道の指が撫でる。
「鬼道っ!」
「黙ってろ、今日はまだ時間があるからな」
 言われて初めて、鬼道もまだ昨夜豪炎寺が着せたパジャマ姿であることに今更ながらに気づいたが、正直眼下の光景に豪炎寺の意識はそれどころではなかった。半勃ちだったモノは鬼道の手の感覚にあっさりと、むくりとその頭を完全に持ち上げる。
 豪炎寺は寝るときはトランクスを愛用していたから、鬼道は何の躊躇いもなく裾から手を入れ、直接刺激を与えながら、布地の上からあむと咥えた。布地越しとは言え、朝のキッチンで鬼道が自分のモノを咥えているというその光景だけで豪炎寺の下半身に一気に熱が集まる。
「ふぁっ」
 口の中で急激に膨張したモノに鬼道の瞳がじわりと濡れた。だが、口を外すことなく、トランクスの下に潜らせた指先は根元の部分をやわやわと撫で上げていく。
「鬼道っ、頼む。直接」
 咥えてくれ…。
 シンクの縁に手を着いて身体を支えながら、豪炎寺がより強い刺激を欲して上ずった声を上げる。その言葉に、鬼道は意地悪することなくトランクスのゴム部分に手をかけると勢いよく引き下げた。

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