うがい手洗い、運動、睡眠、出来る限り栄養バランスをとった食事。
元々この身体は頑丈で不眠不休で動いても問題はなかったのだが……

「大丈夫か?」
「げほ、げほ……おう」
「ネギ」
「巻いても効かねえよ……風邪菌がうつっちまうかもしれねえだろうが、部屋から出ろ」
「む、うー」

不満気な銀時にしっしっと手を振って追い出した。
無人になった自室にようやく一息吐く。どうやら俺は風邪を引くと咳が多くなるようで、今日はずっと咳き込みっぱなしだ。
とりあえずエネルギー補給してこの後はずっと寝ていよう、と熱でぼんやりしている頭で考えていたら、襖が開く。

「雪成、入りますよ。お待たせしました」
「待ってたぞー」

ほかほかと湯気が出てうまそうな雑炊を受け取り、匙で掬って食べようとするが寒気で腕が震え、べちゃっと器の中に戻ってしまった。

「私が食べさせた方が良いかもしれませんね」
「ん……いやでもなぁ」
「遠慮なさらずに。貴方は今病人なんですよ?」
「あー、じゃあ、頼む」

もう一度チャレンジしてみたが、食べることは出来たものの多少零してしまう。面倒臭くなったので松陽に任せることにする。

「はい、あーん」
「……どこで知った」
「定食屋で箸が握れない小さい子供にご飯を食べさせようとする母親を見ましたので」

ぐぬぅ。致し方ないこととはいえ、ちょっと恥ずかしいな。

この後少ししてからこっそり様子を覗きに来た銀時が、俺にメシを食わせている松陽を見て「おれもやってみたい」と真似をしたがるとは思ってもみなかった。


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