気まぐれ部屋 | ナノ




俺は縁結びの神様として崇められていたりする。
何故って、俺は皆の声を理解する事が出来るからだな。「"あいつチャラいからやだ〜"」「"うひょー!可愛いー!付き合ってくれー!"」「"わたしにはまだいいかな"」などなど、それぞれのご要望を聞いてお見合いセッティングをすることが出来るから、カップル成立率が非常に高いのである。えっへん!

ただ悲しい事に、絶滅寸前で滅ぶ三秒前な種族もいる。
その場合は相手を選り好み出来ないから、俺がやれるのはへいへいそこのお二方さんよ〜盛り上がってますか〜!?ほらセックス!セックス!と囃し立てて子作りに励まさせることくらいだ。

「"セックスレスなの……"」と相談されることもあるが人間のセックスと皆がやるセックスってだいぶ違うからな、俺はあまり力になれない。公開プレイとかしか思いつかないしな?

まあ様々な要因で駄目になる幾つかのパターンはあれど大抵は皆仲良く元気な夫婦になっている。人間より子孫遺す考えが強いから相手が好みじゃなくてもとりあえずセックスはしてくれるし、好きじゃない相手の子でも産んでくれる。ヒュウ、子供が生まれれば問題ねえ理論!流石ー!

複雑な感情を持ち込んで破滅するのは断トツで人間がトップだ、たまに動物じゃなくて人間の縁結びもしてくださいよーと頼まれたりするが無理無理。だってしがらみが多すぎるし……もうちょっと食欲!性欲!!睡眠欲!!!って感じで思うがままに生きていても良いと思うんだけど。





「"その手を離せ!!"」

頑張れダイアス!お前自身の手で彼女を助け出すんだー!

「"汚ぇ手でメアリーに……触れんじゃねえぞ!!"」
「"ダイアス……!"」

あ、これロマンス始まってるぞ!確実に今彼女お前に惚れたぞ!目にハートが浮かんでいるから間違いない、頑張って強盗犯を逮捕する甲斐があるってもんだ!今からお前達の子供が楽しみだぞダイアス!

「『クソッこんな筈じゃ……!このクソ犬が食わなきゃとっととオサラバだったってのにッ!』」

宝石店から盗む筈だった目当ての小さい宝石が誤ってメアリーの小さいけど大きく開く口でぱっくんと食べてしまったので、メアリーを誘拐した強盗犯兼誘拐犯を無事探し当てたダイアスはメアリーに擦り寄り毛繕いをしている。
はっ……駄目だ、ダイアス!そこで引くんじゃない!そのツンツンした態度はツンデレという奴で言葉通り受けたら折角のラブラブシチュエーションが崩壊してしまうぞ!……あ、怒られた。

「"ふんっ"」
「"えっなんでだ、メアリー!?"」

三歩進んで一歩下がるといった所か……ふっ、まだまだだなダイアス。だが今回の誘拐事件がお前達の仲を後押ししたのは間違いない。あとは地道に一緒に過ごしデートを積み重ねれば間違いないさ。

「『ミスターディアス、あのシベリアンハスキーは大変素晴らしいな!』」

警察官が機嫌よくダイアスを褒め称えてくるので俺も誇らしくなる。そうだろうそうだろう、うちの子は凄いんだぞ。

「『これで何度目だろうね、君達の活躍を見るのは!どうかね、そろそろ表彰させてはくれないか?』」
「『あんまり人前に出るのは好きじゃないので何時も通り控えさせていただきますよ』」
「『まったくつれないなあ』」

そんな事をしてる暇があったら俺もダイアスも別の事をしたいもんな!そうだろ、ダイアス?

「"メアリーどうしてだああああ!!"」

ぷりぷりと怒りながらちょっとしょんぼりしているメアリーとツンデレを理解できずに遠吠えしてるダイアス。
メアリーちゃんってば手酷く振っちゃったんだな……落ち込んでるだろうしフォローに回らねば。


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