気まぐれ部屋 | ナノ




部屋で自主勉強をしていたら、同期の子が慌ててやってきて私をどこかへ連れて行こうとした。
説明をしてほしかったのだけれど、慌てているのか説明がごちゃごちゃで意味がよく分からない。
『スモーカー』『ワイ』『喧嘩』というワードから、二人が何かやらかして、二人と仲が良い私が仲裁役として選ばれた……のかしら?
連れてこられた場所は、演習場だった。
ワイのイライラした大きな声が聞こえる。

「だから!別にいいじゃん、減るもんじゃないし!」
「減る」
「何がよ」
「……何かがだ」
「もう!カーちゃんの分からず屋ー!」

「……何をしているの?」

「あ、ナッちゃん」
「ヒナか」

……なんで一緒に私を見るのかしら。
二人を遠巻きで見ていた人も私を見るし。
見せ物じゃないのよ?

「それで、喧嘩の原因は?」
「喧嘩じゃないよー。コウショウだよ、交渉」
「アレの何処が交渉だ」

あれ、というのがさっきの発言だとすれば確かに交渉じゃないけれど。
…何を交渉しようとしたのかしら。

「そう。じゃあ言い方を変えましょうか。交渉の理由はなんなの?」
「えっとー……一から?」
「当たり前でしょう」

今までの経緯がわからなきゃ、判断のしようがないわ。

「コイツがおれを的役にしようとしやがったんだ」
「……的?」

的って……ダーツじゃないんだから。
いや、ちょっとまって。ここは演習場だから……何か、武器の使用練習とかしようとしてたのかしら?
改めてワイを見てみると、右手にオモチャのピストルが。

「……スモーカー君は自然系の能力者でしょ?当たっても痛くないなら別に構わないんじゃないの?」
「最初は受けたさ。だが、想像以上にうざったかった」
「だって中々当たらないし。BB弾回収するの思ったより面倒くさかった」
「訓練してんだから動いてんのは当たり前だろうが。つうか、おれの武器にソレがピシピシ当たってそれもうぜえ」
「わざとじゃないよ?」
「スモーカー君をすり抜けて、その十手に当たった……と?それだけ?」
「え?それだけって?」
「……二人が喧嘩した原因よ」
「だぁから喧嘩じゃないって。私の訓練にもっと手伝って欲しいと交渉をしてるのだよ」

こんなくだらないことの為に呼ばれたの……
何だか頭が痛くなってきたわ。

「あー、ほらスッピーのせいでヒナヒナが呆れてるよ」
「テメェのせいだろ」
「言ったなー!」

「ヒナ不服……」


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