気まぐれ部屋 | ナノ




どうやら新たなお客さんがやってきているらしい、見知らぬ気配を感じる。
ヴァリアーとかミルフィオーレとか、派手な戦いが終わって兄さんにようやく平穏が戻ってきたかと思いきや、まだまだ変化は訪れるらしい。

(どんな人かなぁ)

またマフィア関係者だったら嫌だけど、兄さんの友達が増えるのは良いことだ。新しい知り合いが続々と出来るのは一年前の時みたいだし歓迎する。
本日分の宿題を終えるや否やお腹が鳴り「ご飯の時間よ!」ちょうどよく母さんの声が聞こえた。一階に降りようとドアを開けると兄さんも同じように部屋から出てきて、後ろには背格好が似たお客さんも立っている。どうやら同い年のようだ。

「!……きみは…」
「あ、馨。紹介するよ、古里炎真君っていうんだ」
「初めまして、妹の沢田馨です。どうやって知り合ったの?」
「母さんが集団転校生がくるって朝言ってたろ、エンマ君はうちのクラスにやってきた一人なんだよ」

兄さんなんかすごく普通だな……地震のせいで転校なわけだし、マフィアとは関係ないのか。

「へえ、じゃあまだこの町に不慣れですよね。おすすめの店とか、聞いてくれれば直ぐ教えますよ!ねっ兄さん」
「う、うん!」

ならば交友関係の更なる発展を望むのみ!頑張れ兄さん!

「……沢田君、妹いたんだ」
「そうだよ、オレには勿体ないくらい出来た妹で……あ、オレの事はツナで良いよ。あっていうかごめん勝手に名前呼びして!!」
「別、に…………夕飯はいらない、帰るよ」
「え?ちょ、エンマ君!?ま、まだズボン縫い終わってないよ!もっとゆっくりしてって!ね!」
「…………あっ」

ズボンの件を忘れていた炎真君がぽかんと目を丸め、小さく頷いた。
そして私は今日会ったばかりの転校生にとても積極的に絡みにいく兄さんの姿に感激している。よーし、私も手伝うぞ。

「うんうん、折角だし一緒にご飯食べてってよ炎真君」
「え…………あ、ありがと……」
「じゃあダイニング行こっか、エンマ君こっち」

もしかして今回がマフィアの関係がない初めての中学生友達なのでは……?赤飯炊くべき?


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