お前等全員『おすぎ』である! | ナノ

吾輩も一度、やってみたかったのである。
主人たちがハマりにハマっていうという、ばすけっとボールとやらに!

「わんっ、わんわん!」

主人たちは休憩時間で身体を休めているのである。
だからコートはガランとしていて、つまり、今がチャンスである。
頭でついてばかりだと直ぐに疲れてしまうのであるからして、主人たちと同じように手で動かすのである!
……動かすというより、押す、または弾くといったほうが正しいのであるが。

「お、二号。やっぱお前もバスケ好きか〜」
「わふん!」

おお、新しく主人になったきよしてっぺいであるか!
集中していて気が付かなかったのである。

「1on1やるか?」
「わんっ!」

望むところである、主人が相手でも吾輩は一切手をぬかかないのである!
主人こそ、初心者かつ犬である吾輩を相手にしても手を抜かないでいただきたい!

「よし、それじゃ早速――スタート!」
「わおおん!」
「おうっ!?」

止まってみえるのであるよ、でかい茶色の主人よ!
吾輩は犬であるからしてゴールすることはできないのであるが、コートの端っこまで持って行けばオーケーなのである!

「うおおおお、二号凄いなぁ〜」
「わふっ」

「流石です、二号。僕も鼻が高いですよ」

いつの間にか吾輩の背後に立っていた主人が吾輩を抱き上げ、頭を撫でてくれるのである。
ふふん、吾輩も精神面こそ老躯であるが、まだまだイケるのである!




『遅すぎ』である!
(このまま頑張れば吾輩がエースになるかもしれないのである!)


 後退! 前進!

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