「角都、大事な知らせがある」
嫌な予感がした
聞きたくなんかなかった
「飛段が死んだ」
その言葉を聞いた瞬間、
目の前が真っ暗になったんだ
もしも、奈良一族の小僧の相手が飛段ではなく俺だったら
もしも、飛段の言うとおりに換金所へ向かっていたら
もしも、賞金首なんか集めていなかったら
沢山の「もしも」が浮かんでは消えていく
そしてそれは後悔と共に
体の芯にまで染みついて
俺を内側から破壊していく
『死ぬなよ』
『それを俺に言うかよ角都!』
お前はもう、この世界にはいない
『ゲハハハハハハハ』
耳障りな笑い声も
『んっ…角都、愛してるっ』
愛を囁く妖艶な声も
俺は二度と耳にすることはできない
「奈良一族の森の中だ」
俺は飛段の最後の場所を聞き
走り出した