「なあ、オイラたちって
100年位前に出会ってた気がするんだけど、うん」
「は?100年前に俺もお前も生まれてないってんだよ」
「オイラとか旦那っていう個体としてじゃなくて、こう…もっと遺伝子レベルみたいな感じで」
「…意味わかんねえ」
「でも、その二人は確かにオイラたちなんだよ、うん」
「その話の根拠はどこにあるんだ?」
アジトの中の二人だけの部屋
二人だけの空間
窓から太陽の光が差し込むこの時間だけは
太陽でさえ二人だけのもの
「オイラたちの、愛とか」
「馬鹿かお前は」
読書をする旦那の顔は少し照れているようで
純粋に、可愛いと思った
「だからさ、オイラたちがもし離れ離れになったとしても」
「また会えるってか」
「うん」
「くだらねえ」
どっかの安い小説じゃないんだから、と
旦那は馬鹿にしてきたけど
オイラ、本気でそう思うから
「愛のパワーだ、うん!」
「うわ、てめっ」
オイラは旦那にダイブする
旦那はその衝撃に耐えきれずに絨毯へ倒れこみ、そのまま大の字になった
えへへ、と笑いながらオイラも旦那の横で同じように大の字になる
二人で寝転んだ絨毯はなんだか新鮮な草の匂いがして
真っ青な天井には雲が浮かんでいた