「うあぁぁ…疲れた…」
「?どうしたよ、森川」
「おぉー倉持…いや、相変わらず小湊先輩が「亮さんがどうかしたか?」…なんかいつもより食いつきいいのはなんでかな?」


休み時間毎にやって来る小湊先輩の相手をし続けて今やっと昼休み。さすがにこの時間は来るつもりがないのか、もはや敵認識されている小湊先輩の姿は見当たらない。
それに安心して机にもたれ掛かりながら倉持と話していたら、御幸まで寄ってきた。


「なんだ知らねえの?こいつと亮さん、二遊間なんだよ」
「に、にゆーかん?」


恐らく御幸は倉持の食いつきの理由を教えてくれようとしたんだろうけど、その説明に理解できない単語が入ってたら意味がない。


「二塁と二・三塁を守備する2人ってことだよ。鉄壁の二遊間って言われてんの、知らねー?」
「知らない。って言うか…にるい?ってなに?」


素直な質問に対しての2人の最初の反応はまるで人を見下すような目でした。
なんだこのやろうやる気か!喧嘩なら買って10倍返ししてやんよ!!


「ヒャハ、んっとに野球に関してなーんも知らねえんだな!」
「だってどうでもいいしさ、私野球やらないし」
『(うわ…)』
「?なに?2人して」


本音を言えば昔少し気になったこともあったんだけど、そのころにはもう女子はソフトボールに移行してて結局やる気なくしちゃったんだよね。
って言うか2人してまた私を憐れみの目で見つめたまま動かない。おーい、そこで邪魔なモアイになるならお弁当食べるのに邪魔だからちょっと場所変えてきてくださいよ。


「じゃあ昼飯食おうか」
「そうですね。じゃ、いただきま…あれ?」


なんでか知らないけどいつの間にかさっきまでいた2人の変わりにピンク頭が私の前に存在してました。
え、ちょ、


「なんで!?」
「ん?なにが?」
「いやいやなんでここにいるんですかって言うかいつの間に!?」


あいつらは!?と教室を見回せばニヤニヤ顔の2人が少し離れたところで自分たちのお昼ご飯を持って座ってました。
あの馬鹿ども余計なことを…!!


「それにしても俺は嬉しいよ」
「…。な、なにが、ですか?」
「そりゃ怜ちゃんが野球に興味を持ってくれt「持ってません」でもさっき二遊間ってなにとか聞いてたでしょ?御幸とか倉持にだけど」
「話の内容がわからなくて聞いただけです。そんな深い意味は全くこれっぽっちも存在しません」


どことなく不服そうな先輩にそう言えば、そっかーなんて軽ーい返事が返ってきた。


「次聞きたいことがあったら何でも俺に聞いてね」
「次がないので大丈夫です。心配ありがとうございました」
「いえいえ」



この人には皮肉が通じないと思った瞬間だった。




(いらない情報がさらに増えていく)








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