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「何、あれ……」
近藤さんとなまえと、三人でお茶をしようと胡麻団子を買ってきた僕。
近藤さんの部屋へ行く途中、自身の目を疑った。
だってなまえが、あのなまえが。
見知らぬ女と歩いている。
「何あの女。なんであんな足出してるわけ?
なんであんななまえに馴れ馴れしいわけ?
もしかしてなまえを狙ってる?あの可笑しな服も見たことないし…。」
「おぉ総司!何見てるんだよ?」
建物の陰からなまえと女を観察していると、後ろから平助が現れた。
「いいところに来たよ平助。あれ、どう思う?」
「あれ?……なまえ、と誰だあいつ?近藤さんの客?」
平助はいつもの明るい顔を消して眉間に皺を寄せた。
だよね、やっぱりそういう反応をしてくれると思ったよ。
「たぶん違うよ、確か今日は客も謁見も何も入ってなかったし…。
見てよ…あんなに足を出して、首元を晒して、腕を出して。きっとなまえのことを狙っているんだ。」
平助が目を見開いて恨めしそうに二人を見つめ続ける。
僕らはみんななまえのことが好き。
もちろん仲間とかそういう感情の好きじゃない。
みんな、なまえのことを愛しているんだ。
土方さん一くんに左之さん、平助、そして僕。
他にもいろんな隊士がなまえに思いを寄せている。
なまえ自身、そんなことには気づいていないけれどね、あの子鈍いから。
「もしかしてあいつなまえの恋人!?どうしよう…なまえが取られる…!」
「まぁ落ち着きなよ平助。まだあの女がなまえの恋人かなんてわからないじゃない。
どうしてなまえの傍にいるのかは分からないけれどこれは僕らにとって一大事ってことに変わりはないよね。」
いつもは恋敵、だけど今は違う。
僕らはあの女を消すために手を組むことになると思うんだ。
だってなまえが関わっていて、しかもそれがどこの馬の骨かもわからない女に取られるかもしれないとなったらそれ以上の理由なんてあるわけないよ。
「平助、近藤さんに聞いてみようよ。どうしてこうなったのか、もしかしたら勘違いで終わるかもしれないしね。」
でもきっと勘違いじゃない、あの女はなまえを僕たちから奪っていく。
その時は殺すに決まってるよ。
あんたの血はどんな色?
あ、一くんだ。
このことを言ったらどういう反応をするかな?
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