16
天霧も不知火も出かけ、暇を持て余していた。
外に出れば何かしらあるだろうと思い外に出た。
何かしらどころではなかった、女よりも美しくだが大きな目は可愛らしく。
やっと見つけた鬼の女よりも欲しいと思った。
鬼の血などどうでもよくさせる力がソレにはあった。
だが女と思ったソレは男で、見た目からは考えられないような力を持っている。
益々興味が湧いてきた。
いっそ男でも構わないと思ったのだ。
雨が降り出し、宿から傘を借りに戻った。
歩いていればまた会えるだろうかと、目的もなく歩く。
俺はなんとも運がいい……。
あの晩刀を交えた新選組から飛び出してきたのはまさしく俺が探していた者だ。
涙なのか雨なのかわからないほどずぶ濡れになっていたソレに手を差し出した。
「俺の所へ来い。」
目を見開いて頷くソレは先ほどよりも小さく見えた。
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