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※会話文のみです
「で、あの女のこと何か分かった?山崎君。」
「………………。」
「無言、てことは何もわからなかったってこととして受け止めるよ。
にしても山崎君が調べてわからないなんて…あの子本当に未来から来たとか?」
「おいおい信じるのか?せいぜい妖怪ってとこだろ。」
「左之さん、妖怪もどうかと思うよ?だって妖怪って言ったら人間を襲って命を吸い取るとかあるのに。
もし本当に妖怪だったらなまえの命が危ないよねー。」
「それやべぇじゃん!俺今すぐなまえを助けに行く!」
「待て平助、軽率な行動は余計になまえを危険に晒すことになる。
雪村、この中ではお前が一番あの女と接触している。何か分かったことはないか?」
「はい…私がことを話しても私情が入ってしまうので、今日の会話と行動を説明…ということで構いませんか?」
「構わない、聞かせてくれ。」
「まず私の部屋に二人が来た時、なまえさんは簡単に彼女の紹介を私にしました。
けれど彼女はそれが気に入らなかったのかちゃんと説明してほしいと言ってなまえさんの肩を軽く叩きました。
それをなまえさんは何も言わずに流していました。
その後私に着付けを頼んだのですがあからさまに嫌な顔をしてしまったのかなまえさんが気を使ってくださり自分が着付けようかと言い出しました。
そうすると彼女は顔を赤らめて他に女性がいないのかを聞いてきました。
もちろんなまえさんは興味ないと言ったのですが失礼だと怒っていました。
あとは……」
─────────────
「以上です。」
「千鶴ちゃんはよくそんな中我慢できたね?僕尊敬するよ。」
「私だって嫌でしたがなまえさんの前でそんなことは言えませんから。
何度針を刺したくなったり、着付けのときに帯を締めたくなったか。」
「こいつがこれほど殺意を持った顔は初めて見たぜ……。」
「そうですか?なまえさんが関わると無意識にこうなるのかもしれません。」
「一理あるね、僕もなまえが関わると勝手に手やら足やら出ちゃうから。」
「しかしだ。今のところあの女に害があるとすれば…。」
「なまえがあの女に惚れるか惚れないか、だよな。」
「まぁなまえは変な子が好きだし、一日であれだけ気に入ってるとなると可能性がないとは限らないよね。」
「……早々に手を打たなくてはならない。」
「手を打つって言ってもだな、何をするんだ?殺すか?」
「左之さんにさんせーい!」
「簡単に殺してしまえばなまえに怒られる可能性があるがそれでもやるのか?
運が悪ければ嫌われることにもなる。」
「う、それは嫌だぜ…。」
「そういう斎藤君は何か作戦でも?」
「あると言えばある。なまえは恋に関しては鈍い。
もしあの女を好きになったとしても簡単には気づかないはずだ。
気づく前になまえから女を引き離してしまえばいい。」
「引き離すって…どうするんですか?」
「簡単だ、俺たちがなまえの代わりにあれの世話係をすればいい。
なまえは俺たちとも仲良くしてほしいと言っていた、ならなまえの望み通り仲良くする。
そしてあの女が俺たちにも心を開いたとき、間者だったと嘘をつき殺してしまえばいいのだ。」
「俺あの女に近づくなんていやだぜ?」
「けどよ平助、俺らが嫌な思いを我慢してやればなまえは救われるんだぜ?」
「……だけど…あぁもう!わかった、なまえのためならやってやる!」
「それじゃああの女にみんな優しく接してね、そして時がたったらこの手で殺そうよ。」
「「「「了解」」」」
暗い一室での秘話
その日を待つのがもどかしい
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