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わらしが珍しく外でデートをしたいというので、休日に待ち合わせて出掛けることにした。行き先はわらしの指定だ。 普段はあまりどこかに連れて行ってやれないので、全力で付き合うつもりでいたのだが、連れて行かれた場所はよりにもよってラブホ。 外出デートをしてまで、来るところか…?
「あのね、実はソーププレイをしてみたくて…色々調べてね。エアマットとか貸し出してくれるとこ、ずっと探してたの」
それでここのところずっとスマホに釘付けだったのか。
「遊作は…嫌? そういうのはしたくない?」 「そういう訳ではないが…。せっかくのデートがホテルでいいのか?」 「もちろん。ホテルに来たかったの」
わらしが良いならそれで良いが。 俺はてっきり、遊園地や水族館など定番デートを望んでいると思っていたので面食らった。この斜め上を飛んでいく思考は、やはり俺には理解できそうもない…。 結局、わらしの希望通り俺たちはホテルに入り、そこで夢のような時間を過ごした。 ローションを使ったマットプレイに、全身マッサージ。スケベ椅子は思いの外便利だったな。 また、ローションに濡れたわらしの体があんなにいやらしく見えるのは誤算だった。思い出しても勃ちそうになる。せっかくの外出デートがいいのか、これで…。 こうして随分と楽しんだ俺たちだったが、マットプレイが終わって立ち上がった瞬間に、滑ったわらしがこけてしまった。ローションまみれの床は大変危険だ。きちんと洗い流す必要がある。
「うっ…痛いぃ……」 「見せてみろ」 「ん…」
可愛いお尻にしばらく青痣が残ってしまったのは可哀想だったな。
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俺が変態なわらしの思考を理解できないのはいつものことかもしれないが、だからと言って、それを突然行動に移されると困る。それも俺の知らない間に、しかも他人がいる場所で。 どういうことかと言うと、LINK VRAINSからログアウトして戻って来たら、意識のない俺にわらしが奉仕をしていたということだ。草薙さんの車の中、それも狭いこの部屋の中で。一体どうやって入った…。
「わらし、離せ。さすがにこれはまずい…っ」 「ん、ん……ちゅ、……気持ち良くなかった?」 「そういう問題じゃない。何でこんなことしてるんだ。ここがどこかわかっているのか…?」
ドア一枚隔てた場所に草薙さんがいるんだぞ。
「わかってるよ…。でも、ちょっと気になることがあって…」
そう言いながら、指で尿道をグリグリと攻めてくる。やめてくれ。
「気になること…?」 「ほら、前にVR SEXした時に、無意識だけど体が反応してたってことあったじゃない? だったら、VRに意識がある時に体に刺激を与えたらどうなるのかなーって。遊作、LINK VRAINSにいながら感じてた?」 「そういう、ことはなかったが……、っ…」 「そっか。じゃぁLINK VRAINSにいる時には外からの刺激は分からないんだね。ちょっと残念」
言って、再び口の中に誘い込む。 意識がない時には分からなかった刺激が、唐突に脳の回路を引っ掻き回す。しゃぶられてから既に大分時間が経っているらしく、わらしの口内は唾液とカウパーでぐちょぐちょになっていた。 わらしを離すのは簡単だが、この状態で外に出られるはずもない。わらしの舌遣いに、早くと急かされる。限界だった。 意を決した俺は、わらしの頭を掴んで引き寄せた。
「、こぼすなよ…」
軽くえずいて震える喉の奥に向け、射精した。
二人で部屋から出て来た俺たちを見て、草薙さんは驚いた顔をしていた。
「わらしちゃん来てたのか?」 「草薙さん、挨拶遅れちゃいましたね。こんにちは」 「あぁ、よく来たな。…って遊作、どうしたんだ? いつも以上に疲れた顔をしているが…」 「草薙さん、頼むから施錠はちゃんとしてくれ。それとわらしが入るのを阻止してくれ…」 「え? あぁ悪い、モニタに付きっきりで気付かなかったな。次はちゃんとするよ」 「本当に頼む…」
きょとんとしている草薙さんに、俺は心の底からお願いした。
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わらしと何気ない会話をしていた。
「もし私がいなくなったらどうする?」 「…俺は生きていられないだろうな」
わらしのいない世界なんて考えられない。 多少変態なところはあるが、そこに目を瞑ればわらしは俺の理想そのものだ。言葉では言い表せないくらい大切な存在。俺の女神。 わらしを失うなんて想像でも苦しい。
「じゃぁ逆に、私が二人に分裂したらどうする?」 「……俺は生きていられないだろうな」
性的な意味で。たぶん。きっと。いやおそらく…。 骨の髄まで吸い付くされそうだ。 考えただけで身震いした。
「ちなみに私は、遊作が二人に増えても大歓迎だよ!」
…そうだろうな。
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わらしは割とよく嫉妬する。
「…遊作、今日女の子と話してたでしょ」
アヒルみたいに口を尖らせて膨れっ面をする。まるでキスをしてと言わんばかり。ここは我慢するが。
「話?」 「昼休み、廊下で」 「…あぁ、財前のことか」
そういえば部活のことで少し話をした記憶がある。 わらしとはクラスも違うし、校内ではほとんど話もしない。見掛けてもお互いスルーすることが多いので、見られているのに気付かなかった。
「…その子と仲良いの?」
不安そうな表情で尋ねてくる。
「部活の連絡をしていただけだ」 「…そう」
少しだけホッとした、けれど寂しそうな顔をするわらしを見て、たまらずにその細い体を抱き寄せた。馬鹿だな。俺にはわらししかいないのに。 そういうところも含めて可愛いんだが。
「俺が好きなのはわらしだけだ。他の女子には興味ない。心配するな」 「ん…。ごめんね、重くて」 「そんなことはない。嬉しいくらいだ」
冗談ではなく本気で。 俺の言葉を聞いて、甘えるように顔を擦りつけてきた。良い匂いがする。わらしが俺の彼女で良かった。 後日、ベランダのプランターで花を育てているわらしの姿を見た。
「可愛いでしょ? 遊作と同じ部活の子にあげようと思って。遊作から渡してくれる?」
綺麗な紫色の花だ。先日は嫉妬して落ち込んでいたが、やっぱり優しいんだな。 本音を言うと、花よりもわらしの笑顔の方が何倍も可愛いのだが。全てが愛おしい。 わらしの言葉に頷きかけた俺は、しかしプランターのところに書かれている植物名を見付けて固まった。 俺の見間違いでなければ、トリカブトって書いてあるぞ…。
「わらし。花は愛でるだけにしてくれ…」 「ん?」
わらしの愛は、一途で強力だ。
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わらしがやけに甘えてくる。このままシタいのかと思って、服の上から体を触りながら問いかけてみれば、赤く潤んだ目で俺を見上げてくる。効果は絶大だ。
「ね、遊作…お願いがあるんだけど…」 「何だ?」
今の俺なら何でも聞いてやれる。
「あのね、その…」 「ん?」 「……中出し、してくれない?」 「……ん?」
わらしの服を脱がせようとしていた手が反射的に止まった。 このパターンはまずい気がする…。
「…わらし。それはもうしないと」 「そんなこと言わないで、お願い……今日だけで良いから、ね?」 「何度言われても答えは変わらない。苦しむことになるのはわらしなんだぞ? 俺はまたわらしに大変な思いをさせる気はない」 「でも…」
どれだけ断っても、諦めずに懇願してくる。 好きな彼女からの中出しの誘いは正直嬉しいが、それ以上に俺はもう同じ過ちを繰り返さないと誓ったのだ。わらしも頭ではそれをわかっているはず。それなのに何故そんな真似を…。 俺が手を止めていると、わらしは頬を赤くしたまま躊躇いがちに囁いた。
「今日だけで良いから……、」 「駄目だ。俺たちに責任が取れないうちはすべきじゃない。今日も明日も。わかっているだろう?」 「わかってるよ…でも本当に、今日だけで良いの。だって…」 「?」 「今日、排卵日で凄くムラムラしてるから…」 「」
その後のことは良く覚えていない。 確かなのは、迫るわらしを全力で拒否して草薙さんのところに逃げたということだけだ。あの日わらしを抱くことはなかった。 そしてその事が原因でしばらくわらしの機嫌が悪かった。
「…少しは落ち着いたか」 「………ん」
あれから仲直りして、その延長で二人でベッドに潜った。つまりはそういうことだ。結局いつもと変わらない。
「遊作って、時々凄く強情な時があるよね。あんな風に途中で放棄して行っちゃうんだもん。傷付いた」 「…置いていったのは悪かった」 「中途半端に焦らして行って。私がどれだけ我慢したと思う?」 「それは俺も同じなんだが…。その代わり今日は散々付き合っただろ…」
それこそわらしがもう良いと言うまで。お陰で体がクタクタだ。 寝転がる俺の顔を上から覗き込みながら、わらしがキスを落とす。
「ん。…許してあげる」
その笑顔に弱いから、いつも負けてしまうんだ。
2018.8.18脱稿
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