「各都道府県への仕事振り分けはお配りした資料の通りです。
この会議で了承が得られ次第、現地にいる職員に連絡、早速仕事に移っていただきます。
何かご質問は?」


現代的な会議室にスーツ姿と、その場に不釣り合いな直衣姿の中年から年配の男性が十数人。
そして発言したのちに会議室をぐるっと見渡したのは真っ黒な着物の少女――第114代陰陽頭、怜宮諒子だった。




そして、諒子の言葉に、プリントを眺めていた一人が手を挙げた。

諒子は目配せして、発言を促した。


「うちの管轄のはずの場所のいくつかだが……何故怜宮のご当主の担当になっている?」

この発言に賛同したのか、勝手に、そういえばこちらもだ、と次々に主要な神社やら霊場やらが挙げられた。

そのせいでざわついた会議室。

諒子はスッと目を細めた。


その瞬間、会議室の体感温度は下がった。
それと同時に、ガヤガヤがピタッと収まった。


この程度で萎縮するなら、大掛かりな仕事などできようもないというのに、と諒子は思った。


「言うまでもなく、私にしかできない仕事だと判断したからです。何か問題がおありでしょうか」


諒子にとっては、ただ、『ちょーっとうるさいかなー?』と思っただけであるが、他の人間には最強の脅しだった。

案の定、文句は出なかった。


「それでは、この書類通りとなります。これにて会議は終了とします。これから1か月間、多忙となりますがどうぞよろしくお願いします」



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