「困ったのう……こういう時に限って『呪いのエキスパート』がいないなんてのう……」


集められた職員で、この御大層な『箒』さまを囲んでいる。
これは、かなり高価なものだ。

ホグワーツのとある生徒に届いたものだが、送り主がわからない。
状況が状況なだけに、はい、そうですかで終わらせるわけにはいかないのだ。


とりあえず、呪いにかかっていないか検査することは決まったが、ここに居る面々では箒をばらしてから検査してまた組み立ててて……とかなり非効率且つ時間のかかり過ぎる作業になってしまう。


「梗子なら見ただけでわかるのじゃが……」


校長は、現在日本で駆け回っているであろう優秀な陰陽師が無性に恋しくなった。
今までこき使っていた分、それがいなくなると、かなり不便である。

これを聞いたら諒子は怒るかもしれない。勿論、意地でも表情には出さないだろうが。


「ですが、Ms.怜宮はいないのですから、我々でやるしかありませんよ」


マクゴナガル教授が言った。

自寮の生徒にしてクィディッチのシーカーな生徒に届いたものであるから、彼女には一番気合いが感じられた。


斯くして、かなり面倒な作業の幕開けとなったのだった。



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