53.six flowers


side 井上


「うわぁ!こっ、小人だ!空飛ぶ小人が出てきて、あたしに話しかけてる!!」

「お!いい反応だなぁ!嬉しいね!だけど一つ間違い。僕らは《空飛ぶ小人》じゃない。僕らはキミの能力だよ」


空飛ぶ小人が私にぐんっ、と近づく。


「僕らはキミが受けた《影響》によって喚び起こされたキミ自身の《魂の力》!つまり僕たちは、キミ自身ってことさ!」


この小人が……、あたし自身……。
じゃあ!そう思って、小人を掴む。


「いたいいたいいたい!!説明の意味がわかんないからって、捕まえようとしないで!!捕まえても、キミ以外の人には僕らは見えないよ!」

「そ、そうなの…?」


なんだか残念。


「そうだよっ!……もっとも一部の人間…、黒崎一護、彼のような人には見えるだろうけど……」

「…黒崎くんが…?なんで…?」

「《なんで》?わかってるはずさ、キミは。僕らは」


彼のせいで生まれたんだから


え…?
それって……。


「呑気に自己紹介なんかしてる場合かっ!!このチョンマゲ隊長が!!!」


突然頭を蹴られるチョンマゲの小人。


「い、いたいじゃないか、椿鬼」

「あたりめーだ!痛く蹴ったんだからな!フヌケたこと言ってんな!!おい女!!」


スゴイエラそう……。
こんなに小さいくせに……。


「オメーが知らなきゃいけねーのは、俺たちの扱い方!ただそれだけだ!!」

「使い方?」


するといっぱい集まってくる。


「私達の力は《盾》を張り、《拒絶》する力!それを発動する為、必要なのはあなたの《心》と《言霊》です!」


コ、コトダマ…?
もうなにがなんだか……。


「おい!来るぜ!」


するとさっきまでほっといた怪物が怒る。


「キェェイ!行きます、織姫さん!!さあ、名前を呼んで!私は火無菊!!」

「わしは梅厳!」

「あたしはリリィ!」

「え、え?」


呼ぶ?コトダマ??
訳が分からなくなってると、復唱するよう言われる。


「ヒナギク!バイゴン!リリィ!」

「ヒッ、ヒナギク!バイゴン!リリィ…!」

「「《三天結盾》!!《私は拒絶する》!!」」


攻撃してきた種を、現れた盾が防いだ。


「…な………」

「彼らの能力は《縦の外》の拒絶。キミと敵との間に《盾》を張り、キミに与えられる《攻撃》を《拒絶》する」

「な、何だい、それ…っ!?」

「そして…」


今度はたつきちゃんの方へ飛んでいく。


「僕ら2人の能力は《盾の内》の拒絶。盾を張った内側という限定空間内の《破壊》を《拒絶》する。つまり、盾で覆った対象を破壊で受ける前の状態に戻す事ができるんだ。さあ!名を呼んで、僕は舜桜!彼女はあやめ!」

「シュンオウ…、アヤメ!」

「そして言霊をのせる!」

「「《双天帰盾》!《私は拒絶する》!!」」


暖かい光がたつきちゃんを包むと、
ひどい怪我をしていたけど何も無かったようになくなった。


「…たつきちゃん…!」


よかった…!


「泣いてるヒマぁ無ぇぞ女!次は俺の番だ!俺の能力さ《盾の両面》の拒絶!敵をブチ抜いて中に盾を張り、《物質の結合》を《拒絶》する!…要するに、敵を真っ二つにするってこった!唱えろ女!俺の名は、椿鬼!!」

「ツバキ!《孤天斬盾》!!《私は…拒絶する》っ!!!」


放たれた攻撃は怪物を真っ二つにして消した。


「…や…っ……た……?……わぁい……」


嬉しいのに変な脱力感が出て、私はそのまま意識を飛ばした。


『……お疲れ様、おりちゃん。……さすがに初めてで全員は無茶なんじゃない?盾舜六花さん方?』

「そうだね…、死神さん。僕らもとりあえず戻るよ」

『そう、ありがとう…。……そろそろ、来るか』

 

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