死んだ男主
2012/02/10 05:53

タイトルはあれだけど、氷帝のテニス部だった男主が自殺したお話。そして高校3年の時、幽霊になって皆の前に現れるという話。若干あの花みたいな感じで。だけど男主は成長していなくてずっと中3のときの姿のまま。男主が自殺した原因はやはり虐め。別にテニス部員が虐めたとかそういうのではなくて、むしろテニス部員との仲は良好。クラスメイトから虐められてた。男主は中2のころから虐めを受けていて、耐えきれなくなり中3の全国大会前に自殺。残されたテニス部員はやりきれない気持ちのまま大会に挑んだ。多分、一番ショックが大きかったのはジロー。男主が死んでからはあんま笑わないし部活にも出ない。スレちゃった感じになったという。そのままズルズル高校最後の学年へ進級。ジローはいつも男主の夢を見ているといいな。





「ね、ジロー。俺、頑張ったよね。」

寝ていると思ってるのだろう、伊織が俺の頭を優しく撫でる。何を頑張ったの?これからもっと頑張るんでしょ?全国は、あと少し先だよ。いっぱいいっぱい、テニスの練習して疲れちゃったの?


「ジロー、もう疲れちゃった。」


ポタリと、何かの水滴が俺の瞼に落ちる。雨が降ってきたのかな。はやく起きないと、起きないとと思うのに伊織の優しい手つきに俺は起き上がれない。


「ジロー、ジ、ロー…っ」


何度も俺の名前を呼ぶ。どうしたの?苦しいの?痛いの?…悲しいの?馬鹿な俺は伊織の最後のサインに気付けずに見過ごしてしまったのだ。

皆が泣く。黒い服を着て、写真の中の笑顔の伊織を見つめては、胸が苦しくなる。


「がっくん、おれ、最低だCー。」
「ジ、ロー?」
「伊織ね、俺のこと、ジロちゃんて呼ぶんだ。あのとき、あのときね、伊織は………。」





俺のこと"ジロー"って呼んだよ。





伊織ってね、悲しいときや、苦しいときはね、俺のこと呼び捨てにするんだよ。

なんで気付けなかったんだろう。小さな違和感はあった。ただ、伊織は疲れちゃったのかなって思った。だから少しくらい休めたらいいなって、そう思った。



ごめんね、馬鹿な俺は、小さなそのSOSのサインに気づいてあげられなかったよ。



(だってあのとき、確かに君は俺に笑ってくれたんだ。)





的な感じで。めずらしくシリアスですね。男主くんは他校のみんなからも慕われていました。

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