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「…お前は、カカシとは?」


涙がなかなか止まらない私を労わるように優しく声をかけてくださる綱手様にゆるゆると首を振った。


「…いえ、アスマに任せてきました。私にはやることが残ってるので」
「!…まさか、ペインとやり合う気か?」
「私の大切な里や仲間を、カカシをこんな目にあわせた奴を黙って見ているわけにはいきません。何より私の気が収まらないんです」
「冷静になれ!相手は自来也を倒したやつだぞ、お前ひとりで何ができる!」


私の肩を掴んでそう声を荒げる綱手様。
そんな姿を見ると私を心から心配してくれてるのがひしひしと伝わってきて。ありがとう、綱手様と心の中で呟く。

だけど、誰に何を言われても私の答えは決まってる。乱暴に涙を拭ってすっ、と立ち上がった。


「たしかに、私が行ったところで戦況は変わらないでしょう。むしろもっと大きな被害が生まれてしまうかもしれない」
「それなら…」
「でも暁は、ペインは私との約束を破った。綱手様もご存知なんでしょう?私があそこにいた理由を」
「…あぁ」
「その時に、あいつらと約束したことがあるんです」
「…」
「私は暁に従うから、木ノ葉と綱手様には手を出すなって」
「…っ」
「だけどあいつはその約束を破った。そして今、あいつは私の大切な里をこうも無惨に傷つけて壊してる。それをただ眺めるなんてこと私にはできません」
「…ユウナ、」


苦しそうな表情で私を見る綱手様に向き直る。


「綱手様、あなたは五代目火影です。里を守りみんなを導く責任がある。なのにまた相当な無茶を…チャクラがもう尽きかけてるじゃないですか。いくら百豪のチャクラがあったとしても、里の人たち全員にカツユ様をつけていればそれ相応の代償があるはずです。これ以上満身創痍なあなたに任せるわけにはいきません」
「…お前、」
「それに、ナルトは仙術を会得したみたいですね、最後に見た自来也様によく似ています。ナルトはあの方の弟子になったんですか?」
「…あぁ」
「やっぱりそうですか。なら、同じ三忍の弟子同士分かり合えることも助け合えることもあるでしょう。何より私はナルトの友達ですから」
「…」
「カカシの仇を取るためにも私は行きます。必ず帰ってきますよ、カカシとちゃんとお別れしたいですから」
「…だが、」
「私を信じてください、なんせ私はあなたの一番弟子ですよ?妹弟子たちに情けない姿は見せられないでしょ」


そういってにっ、と笑うと困ったようにため息をついた綱手様。


「…ったく、お前は相変わらず頑固者だな。一度こうと決めたら何があっても曲げないんだ」
「それが私だって、綱手様が一番ご存知でしょ?」
「…まぁな」
「それでは綱手様、」


「行ってきます」
そう言って再び笑いかけてクレーターの中に飛び込んだ。

後ろから「待ってるからな、ユウナ」という優しい師の声が聞こえた気がした。




あなたという追い風




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