「シカマル先輩!」
「うおっ」


任務終わりの気だるい体を誤魔化しながら一楽でも食って帰るかと歩いていると後ろから飛びつかれて呆れた。またかよ、暇かよお前。なんて思いながら「お前なぁ」と首だけで振り返る。


「いきなり飛びつくなっつってんだろめんどくせぇ」
「だって先輩の背中見えたから」
「理由になってねぇっつの」


悪びれもせず言ってのけるマリナにため息をついた。
こいつはいのの幼馴染。こいつが下忍になった時にいのに紹介されて出会った。あん時は小さくて子供丸出しだったこいつも、6年も経ちゃちょっとは女らしくもなるわけで。んでも態度なんかは変わらず俺を見つけるとこうやってくっついてくる。なんだかんだ可愛い後輩なのかもしんねぇ。


「つーか離れろ。あちーんだけど」
「やです」
「…あのなぁ、」


俺だっていろいろ我慢してんだぜ。なんて思いながらため息をついた。


「そういやお前、明日の任務聞いたか?」
「?や、まだですけど」
「明日は俺とツーマンセルだからよ。よろしくな」


俺がそう言うと、ずるずると俺の背中から降りて放心状態になってやがる。んな驚くことかよ。上忍と中忍が組むなんてザラにあるだろうがなんて思いながら、焦点の合わない顔の前で手を振る。


「マリナ?」
「…」
「おーい」
「…」
「聞いてんのかー?」
「…」
「返事くらいしろバカ」


スパンと頭を叩くと「いったい!」と意識が戻ってきやがった。ったく何を考えてたんだこのバカは。


「何考えてたんだよ」
「…べ、別に」
「そうかよ」


目を逸らしながら苦笑いで頬を掻くこいつに背を向けた。ま、明日になりゃ気持ちも切り替わってるだろ。そう思いながら一楽でも行くかなと再び歩き出した。


「せんぱーい!明日、よろしくお願いしまーす!」


後ろから聞こえた声に右手を上げ返事をする。
密かに明日を楽しみにしている俺がいた。



| NEXT

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -