「それじゃあカカシ、行ってくるね」
「あぁ、気をつけて。戻ったら連絡ちょうだい」
「了解」


今日は珍しくカカシの家から任務に向かう。
正規部隊に戻ったカカシと違ってまだ暗部の私はカカシとは行動する時間帯が違うんだけど、今日はカカシがたまたま休みで、カカシの家で一日一緒に過ごしてからそのまま任務に向かうことにした。

意外に心配性のカカシは、暗部を抜けてからその心配性が増したような気がする。今も私が暗部装束を身に着けて玄関で脚絆を履いてるんだけど、そんな私の背中にはカカシの“心配です”って視線をびしびし感じるわけで。こう見えて私、暗部の分隊長なんだけどな…なんて思いながら、視線でわかるくらい私のことを気にかけてくれるカカシにはいっつも感謝の気持ちは持ってる。


「…そんな顔しないでよ。行きたくなくなるじゃん」
「…ごめん。でもただでさえ暗部って危険だからさ、ナツハに何かあったらって思うと…」
「だーいじょうぶ。私これでも分隊長なんだよ?カカシの後釜だけどさ」
「…ん」


しゅん、と項垂れるカカシに困ったように笑ってしまう。
最近目に見えて表情が出てるような気がするんだよなあ。私と一緒になって死に急ぐことをやめて、暗部っていう殺伐とした場所を抜けて、良い意味でカカシはどんどん人間らしくなっていく。そんなカカシに何回私は惚れ直せばいいんだろう。

そんな風に思いながらふふっと笑ってよっこいしょ、と立ち上がる。そのまま後ろを振り向くと、うるうるした目を向けてくるカカシの頬にひとつキスを落とした。


「!」
「カカシが待ってくれてるのに、私が置いていなくなるわけないでしょ」
「…ん」
「絶対帰ってくるから、カカシも、いつもちゃんと帰ってきてね」
「…わかった」


まだ心配そうな顔をしながら、でも薄く笑ってくれたカカシに笑みを返して扉を開けた。


「それじゃあカカシ、行ってきます」
「いってらっしゃい」


ひょい、と片手をあげてくれたカカシににっ、と笑って背を向けて、いつものように面をつけて瞬身の術を使った。




彼の第六感


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