「カカシの好きなところねぇ…」


うむうむと私が悩み果てる原因は、「あんたカカシさんのどこが好きなの?」という親友からの突然の質問だった。おおよそ暇を持て余した彼女の時間つぶしに付き合わされただけなんだろうけど、言われてみるとたしかに考えたことがなかった。

カカシと付き合って、もうすぐ二年。
お互いの人となりや生活感、性格も趣味嗜好もあらかた理解して、ようやく自然に一緒にいられるくらいには馴れ合えたような気がする。だけど、どこが好きなのって聞かれたら答えには困る。

だって見た目も好きだし、性格も好きだし、カカシが作るご飯も好きだし、一緒にいられる時間も好きだし、ちょっぴりおじさん臭いところも好きだし、ときどき子供みたいに拗ねるところも好きだし、お布団の柄とかちょっぴりセンスがないところも好きだし…ほら、上げればきりがない。だから、どこが好きかと一言で表すことができないんだよなぁ。


「カカシの好きなところ…」
「もしかして、ないの?」
「いんや、ないってことはないよ。むしろありすぎてあげらんないの」
「……聞いた私がバカだった」


「惚気られちゃったよなんか悔しい」
至極真面目に答えた私に呆れた顔を浮かべながらストローに口をつけた親友の顔は、でも優しく温かい。そんな彼女が大切だって改めて思いながらおなじくストローに口をつけると、「おーい」という声が聞こえて振り向けば、軽く右手を上げながら近寄ってくるカカシがいた。

任務終わったのか、そう思って「お疲れー」と手を上げると、嬉しそうに笑うカカシを見てはっと思った。


「ねぇ、見つかったよ、カカシの好きなとこ」
「…どこよ」


汚くもぶくぶくとストローに息を吹く親友にくすりと笑い、もう一度カカシを見た。


「全部。カカシの全部が好き」





fin.


BACK _ NEXT

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -