「…なに、これ…」



目の前に広がる荒れ果てた大好きな里の姿に絶句した。
今日の朝までいつもと一緒だったのに。ついさっきまで、あの温かくて大好きな、木ノ葉隠れの里だったのに。…なんでこんなに、冷たくなってるの?



「…何者かに襲撃されたようだな。俺は至急火影様に状況を聞いてくる。お前たちはそのままここで待っていなさい。いいか、今の里は危険だ。絶対ここを動くんじゃないぞ」
「っ先生…!」



俺の言葉を聞く前に、渋い顔をしてそう言った先生は瞬身の術で姿を消した。
下忍である俺を含めた三人はただ途方に暮れる。


母さんはどこ?
カナメは?
ユリナは?
父さんは、どこにいるの?


ただ、家族のことが気になった。
みんなが生きてるってすこしでも早くこの目で確認したかった。



「っ待てコウタ!先生がここを動いちゃだめだって言っただろ!」
「そうだよコウタくん!里をこんなにした犯人がまだいるかもしれないよ!」
「…俺は…っ」



いつも冷静なはずの俺が里に飛び込もうとしているのを見て班員二人が腕を掴んで止めた。

本当はわかってる。今の里にこんな俺がいっても何もできないって。もしかしたら襲撃した奴に殺されるかもしれないのもわかってる。…でも、だけど。

俺は、二人の手を、ゆっくりと払った。



「…俺は何より家族が大切なんだ。家族の無事を早く知りたい」
「!」
「…っ」
「まだ小さい弟や妹がいる。父さんはきっと前線だろうし母さんは病院だろうから、俺があの子たちを安心させてやらないと」
「…無理だよ。俺たち下忍にできることなんて…」
「…たしかにそうかもしれない。それでも俺は行く。このまま先生の言いつけ通りじっとしてるなんてできないんだ。…だから、ごめん」
「っコウタ!」
「コウタくん!!」



覚えたばかりの瞬身の術で、俺は瓦礫の里に飛び込んだ。





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