「カナメ!ユリナ!どこにいる!?返事してくれ!!」
家のあったはずの場所で、瓦礫をかき分けながらひたすら声を張り上げた。
俺たちがずっと暮らしてた家は全壊してて、面影すら残ってない。
…もし、もしこの下に、カナメやユリナがいたら…。
考えたくもない信じたくないそんな想像が頭にこびりついて離れない。
瓦礫の破片でいたるところを切っててもう血だらけだ。それでも手や足は、全く止まらない。
「…お願いだよ…お願いだから、返事してよ…っ」
今度は涙まで出てきて、瓦礫を思い切り殴りつけた。
なんで、なんで返事してくれないんだよ。どこにいるんだよ。俺に教えてよ。こんな頼りないお兄ちゃんに、教えてくれよ…。
「…どこにいるんだよ…カナメ、ユリナ…っ」
「……コウタ、兄?」
「!!」
聞こえたそんな声にばっと顔を上げれば、ユリナと手を繋いで俺を見るカナメがいて。
生きてた。見つけた。よかった。そんな思いで胸がいっぱいになって、滲む涙もそのままに思わずよろけながらも駆け寄って、二人まとめて抱きしめた。
「…痛いよ、コウタ兄…」
「…ごめんカナメ、ちょっとだけ我慢して…」
「コウタにい、ないてるの?」
「…ううん、泣いてない、よ…」
すこしだけ安心したようなカナメの声と、静かに涙を流す俺を心配して頭を撫でてくれるユリナのちいさな手に、一度緩んだ涙腺がまた一層緩くなる。
「…よかった…二人とも無事で…」
「…うん」
「カナメにいがね、ユリナといっしょにいてくれたの。いっしょにコウタにいたちをさがそうって、いってくれたの。だからユリナ、ぜんぜんこわくなかったよ!」
「……そっか。カナメ、えらいぞ」
「…ん」
「…ユリナも、よく頑張ったね」
「えへへ」
血だらけの手で頭を撫でると、二人は照れくさそうに笑った。
やっとのことで引いた涙を拭って体を離すと、二人は俺の言いたいことをわかったのか真剣な顔をする。
「…母さんは、病院でケガした人たちを治してるよ。父さんは…わかんない」
「…そっか。じゃあ今からみんなで母さんのところに行こう。何か父さんのことも聞いてるかもしれないしね」
「…うん」
「うん!」
今度は俺が二人の手を取って、一緒に木ノ葉病院を目指した。
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