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▼ 好きな人に嫌いと言ってみよう

「み、三日月のことなんて好きじゃないんだから!」

 唐突に審神者がそう言うものだから、三日月は彼女に何か嫌われることをしただろうかと己が行いを振り返ってみることにした。脳内で。
 …………。
 振り返ること、時間にしておよそ数秒。
 小さいのに(三日月比)色々と頑張る審神者が愛いので、ついつい頭を撫でたりお菓子を与えたりしたのがいけないのだろうか。審神者は背が小さく童顔でも、立派な大人の女性でけして童ではない。童扱いされるのがきっと、嫌なのだろう。そうに違いない。だから自分を童扱い(ついつい)してしまう己を嫌いというのか。嫌われるのは悲しいが、己の行動の結果であるのならば仕方がない。その言葉も甘んじて受け入れよう。
 しかし、それでも。

「俺は主が好きだぞ」

 にこりと笑って言えば、審神者は顔を赤くして走り去っていく。
 残されたのは小首を傾げて審神者を見送る三日月のみ。

 三日月は、エイプリルフールという日を知らない。
 故に審神者の「嫌い」が嘘だとは、後で鶴丸に指摘されるまで気づかぬまま。


2018/04/03
2018/05/10 拍手より再録

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