「シャルティエ、今回の討伐にはケイカ君も同行させるように」
「司令、それは…!」
「…彼女もそれを望んでいるし、治癒術を使える人間は3人しかいないんだ。彼女以外、今回同行は不可能だ」
作戦司令室に集められたソーディアンメンバーと、ハロルド、ケイカ。突然リトラーに切り出されたシャルティエは狼狽えた。つい先程まで、ケイカと言い合っていたからである。
「ケイカなら、問題はないだろう」
「ディムロス中将!」
「自分の身は自分で守れる、そうだろう?」
ディムロスは、机を挟んだ位置にいるケイカを見遣る。ケイカはにっこりと笑って"もちろんよ"と答えた。リトラーとディムロスが推しているのだ。シャルティエに、決定権はなくなった。(それにアトワイトとハロルド、イクティノスも賛成しているし)
「彼女にはまだ実戦経験が…」
「ならば、お前が守ってやればいい」
「……え、」
「女一人、守れないと?」
「ち、違います!」
「へぇ、シャルティエあんたそんな弱い男だったわけぇ?」
「っ、だから違います!
守りますよ、ケイカを。僕が守ってみせます!」
シャルティエは、声を荒げバンと机を叩く。しん、とした部屋にハッとしたシャルティエは俯き、すみませんと謝った。シャルティエの言葉ににやりと笑ったのはハロルドと、ディムロスだ。アトワイトもくすりと笑い、リトラーも笑った。
「言ったわね、シャルティエ」
「…言いました、けど」
「…ケイカのこと、頼んだわよ」
「はい、任せてください」
頷いて、微笑んだシャルティエに、ケイカは顔を真っ赤にしていた。どくどくと早まる鼓動。先程のシャルティエの言葉が何度も巡る。
守ってみせる、と言ったシャルティエの顔は真剣そのものだった。そんなシャルティエの顔と言葉にケイカは困惑と嬉しさ、恥ずかしさで固まっていた。シャルティエが、私を守ってくれる、だなんて。
「良かったわねケイカ……ケイカ?」
「ふぇ?な、なに?」
「良かったわねって言っただけ、…なんかあったの?」
「うぅん、何もないわ大丈夫、うん…大丈夫よ」
シャルティエの顔が見れない。今の私は、きっと顔が赤いはずだ。それにしても、こんなに胸が高鳴るなんて、どうして?シャルティエに守ると言われて、私は泣きそうになった。悲しかったからじゃない、嬉しかったからだ。
「…私、準備してきます」
「あ、ケイカ…!」
ぱたぱたと走って司令室を出た。地下へと続く階段を下りて、息を切らして部屋の前で止まる。
守ってみせます、といったシャルティエの声が頭に響く。とくん、と胸はまた鳴りだし、ケイカは首を振った。邪念を捨てろ、これから、魔物討伐なのだ、と。
「ケイカ!」
「、シャル…?」
振り向くと、息を乱したシャルティエが走ってきた。じっと見つめると、シャルティエはそれに気付いて顔を背ける。ぱちぱちと数回瞬きすれば、ぼそぼそと話しだしたシャルティエに首を傾げた。
「本当に、来るんですか?」
「…やっぱり、迷惑?」
「、違います!
…もし君が怪我をしたら、僕は、絶対に耐えられない、から」
「え…?」
そう言ったシャルティエは、耳まで真っ赤だった。いま、いまシャルティエは。シャルティエは、私を、心配してくれていたの?そんなふうに思ってくれていたの?
嬉しくなった。嬉しくて、涙が溢れる。シャルティエは驚き、慌てふためき、ケイカの肩にそっと触れて、眉を下げた。
「僕、何か変なこと…」
「ちがう、ちがうの」
"嬉しくて"とぽろぽろと涙を零しながら、へにゃりと笑えば、目を見開いたシャルティエは、次の瞬間ケイカを抱きしめていた。
「シャル、ティエ?」
「僕が、守る」
「…シャ、ル」
「僕の命にかえても、ケイカを守るから。だから、」
君を守ると誓う
20120226
気付けばシャルティエ連載を打っている私。
文字数を決めて打ってるから一向に進みません←
11/18