初めてクエスト



「え、なに、なんで?」


ルドガーが、トリグラフに帰れない。



ジョルジュ
(初めてクエスト)




トリグラフに帰ろうと駅に向かっていた。ジュードが目を覚ましたときにはリドウの治療は終わっていたらしく、リドウがクランスピア社のエージェントということもあり、ジュードはリドウを信用したらしい。リドウがあんな男だとは知らなかったから、仕方ないだろう。

ごめん、と謝るジュードに気にしないでくれ、と笑うルドガー。あぁ、なんだか友情が芽生えそうな感じ…!

駅に向かいながら、何故エルはカナンの地に行きたいかを聞いていた。そうか、お父さんが…。この世界での父を知らない私は、エルがなんだか羨ましかった。

駅に着いてトリグラフ行きに乗ろうと切符売り場に行くも、ルドガーがGHSを翳しても反応しなくて、困惑。

そして、冒頭となる。


ノヴァから連絡がきて、借金を返済しないとトリグラフへ移動できないらしい。100万以上だもんやっぱり高額だよね、だからか…仕方ない、よね。


「ルドガー、私が払うよ」
「駄目だ」
「駄目じゃない」
「ルリが必死に貯めた金だろ、俺なんかのために使うのは駄目だ」


一向に首を縦に振らないルドガーに、ルリはイライラし始めて、睨みつけた。「家族なんだから頼りなさい」と。それでも首を横に振るルドガーに、ルリは溜息をついて折れるしかなかった。こんなところで喧嘩してるのは時間がもったいない。早く返済額を返してトリグラフへ帰らなければ何も始まらない。


「じゃあ、依頼を受けるしかないね」
「依頼?」
「各街にいるの、魔物討伐だったり色々な物の納品だったり

それが一番手っ取り早い」

「そうだね、じゃあドヴォールの依頼場所、探そうか」


ジュードの言葉に頷いて、ルリ達は駅から出て街の中を歩き回った。

見つけた依頼屋から依頼を受けて街の外に出る。今回は簡単な魔物討伐とどこにでも落ちているものの納品だ。三人いれば戦闘はすぐに終わるし、楽だろう…多分。


「じゃ、いこっか」
「あぁ、」

「ルリ、無理しないでね」
「大丈夫、魔物相手なら慣れてるから。心配してくれてありがとね、ジュード」
「うぅん、気にしないで。そっか、魔物とは戦闘したことあるんだね」

「うん、私依頼受けてお小遣稼ぎとかしてたから」


言うと、ルドガーが驚いた顔をしていた。あぁ、そういえばルドガーには内緒にしてたっけ。兄さんにはバレてこっぴどく叱られたから、ルドガーにも同じくこっぴどく叱られると思ったから隠してたのだ。


「……ルリ」
「ひっ、は、はいっ」


ルリ、と言ったルドガーの声が低い。ルリはびくん、と肩を揺らして恐る恐るルドガーを見た。

怒ってる。眉間の皺がハンパない。これは、やばい。(ルドガーも兄さんも説教始まると長いんだよ…!)


「っ、ジュード助けて!」
「えぇっ、僕!?」

「ルリ、ジュードの後ろに隠れるな!」
「だってルドガー怒ってんだもん!」
「当たり前だ!魔物討伐なんて、危ないこと…!」


ジュードの後ろに隠れて、顔だけひょっこりと出しながら会話する。ジュードの白衣をぎゅっと掴んでいたからか、ジュードはアタフタとどうしていいかわからず、ルドガーを見ているしかできなかった。



(初めてクエスト)


20121129

お久しぶりです。
更新が遅くなり申し訳ありません。

家庭の事情でガラケーを触ることができませんでした。

これからはまたゆるゆる更新していきますので、よろしくお願い申し上げます。