困惑ツインズ



目が眩んで思わず目を閉じる。次に目を開けたとき、ルドガーの姿が変わってしまっていた。


「うぉぉおお―…!」


銃を構えていた兵士に、ルドガーは形を変えた武器を素早く投げる。どす、と鈍い音を立てて兵士の身体を貫いた。



ジョルジュ
(困惑ツインズ)





ルドガーの武器がアルクノア兵を突き刺すと、突然世界が割れたような、歪んだような感覚に陥る。さっきまで見ていた世界となんら変わりはないはずなのに、周りは、少しの違和感。


「今のは…」
「なんだろう、歪ん、だ?」


ジュードの声に続いて言うと、ぎゅ、とスカートを掴まれて、後ろを見ると、少女が私とジュードの服を掴んでいた。


「えっと…」
「ね、名前は?」

「エルはエル。
エル・メル・マータ」

「心配ないよ、エル」


心配ある!と声を上げてルドガーを指差したエルは、時計もルドガーも変になった!と言う。エルに続いてルルがナァ、と鳴いた。



「僕、不思議なことに縁があって…四大精霊とか精霊の主とか、ね」


ジュードが言う。ルリは、精霊の主…とぽつり、呟いて、あぁミラのことか…とジュードを見た。懐かしむような、愛おしそうな、そんな感じだ。


「また来た!」


エルの声と、後ろから殺気を感じて振り返ると、そこにはアルクノア兵がいて。武器を構えるも、次の瞬間兵士は倒されていた。倒したのは、女性だ。


「ヴェランド頭取、こっちです」
「お見事、ノヴァ君
警備の者にも見習わせたいよ」


手を叩いて歩いてきたヴェラントと、ノヴァ。
そしてその言葉は、つい先程、聞いたことばと同じだった。

ほら、また違和感。


「ルドガー、ルリ!こんなところで!」
「あぁ…まぁ、な」
「ノヴァこそ!」


友達?とエルが首を傾ける。同級生だよ、とノヴァが返すと、ぐらり、列車が揺れる。


「…とにかく、列車をとめよう」
「そうね、行かなきゃ」

「あの、他の車両の状況はわかりますか?」


ジュードの問いに、ノヴァは頷くと「白いコートのテロリストが乗客を無差別に…」と最後は言葉を濁した。そんな中、よく生きていられたものだ。良かった。
彼女、ノヴァと私は同級生で仲が良かったのだ。互いに親友と呼べるくらいに。テロリストがいる中、彼女が生きていて、良かった。


「行こう、」
「うん」
「じゃあノヴァ、私達は行くね」

「気をつけて、ルリ」


手をぎゅっと握ったノヴァににっこり笑いかけると、眉を下げたノヴァがいってらっしゃい、と笑ってくれた。


「、エルも行く!」


ジュードが危ないから駄目だと却下するも、エルにも譲れないものがあるらしい。「カナンの地」に行くためなのだと、行かなきゃならないのだと、下がらなかった。


「カナンの地って、伝説の?」
「知ってるの?どこにあるかも!」
「古文書で読んだだけだから…」


エルは絶対にカナンの地に行かなきゃいけないの!と再度言い出したエルに、はぁ…と溜息をついたジュードとルドガーは、戦いになったら…とエルに言う。すると、ととと、と走って陰に隠れ「逃げるのは得意」と笑う。


ルリ、ルドガー、ジュードは顔を見合わせてエルを連れていくことを決めたのだった。



(困惑ツインズ)


20121109

会話はちゃんとノートにとっていますが、ルリも会話にいれると原作の会話がおかしくなるのでちょこちょこ修正しています。