いつまでも隣にいたい。
ねぇ、いいよって言ってくれたよね。私、ずっと信じてるんだから。




リオンは最近忙しそうだった。彼の補佐である私もそれなりに忙しくはあるもののリオンに比べれば楽なものばかりで。今まで一緒に任務をこなしていたのに、ここのところ別々の任務ばかりで隣が寂しくて。同じ屋敷に住んでいるのに会うこともないのは何故だろう。


「むー…」
「あらリティル、可愛い顔が台なしよ?」

「あ、マリアン…」
「なにかあった?」


仕事中だったにも関わらず其れを中断して私の話を聞いてくれようとしているマリアンに、私は話すことを決めて口を開く。

最近リオンと任務が別なこと、屋敷でも会えないこと。マリアンは頷きながら私の頭を撫でて大丈夫よ、と笑う。マリアンが言うと本当にそう思えるのが不思議だ。


「エミリオは昨日から任務で屋敷を離れてるわ。でも夜には帰ってくると思うから、帰ってきたら知らせるわね」

「、ほんと?」
「えぇ、本当よ」


くすり、笑ったマリアンに少し恥ずかしくなって俯くと、彼女はまた私の頭を撫でた。


「リティルは、エミリオが好きなのね」
「……ん、好き、だよ」

「ふふ、きっと大丈夫
うまくいくはずよ」

「え、それって…!」


最後まで言う前にマリアンは立ち上がり「私は仕事に戻るわね」と悪戯に笑った。むう、期待しちゃうじゃないか。














陽が落ちて数刻。
うつらうつらとしていたら不意に扉がノックされてハッとする。返事をするとゆっくりと扉が開いてそこにはリオンが立っていた。がたんと音をたてて立ち上がりリオンに近付くも、顔色が優れないリオンに少しの不安。

まるで、どこかにいってしまいそうな。


「エミリオ、おかえり」
「…あぁ」

「ね、ねぇエミリオあのね」

「僕のことは忘れろ」
「え、?」


突然の言葉を理解するのは困難で。ただエミリオの顔を見つめるしかできなかった。


「エミリオ、どういうこと」
「言葉通りだ」

「だって、だってずっと隣にいていいって…!」


手を伸ばす。ねぇエミリオ嘘だよね、冗談だって、信じたのか馬鹿だなって笑ってよ。なんで、なんでそんな、


「泣きそうなの…?」


ぴくり、肩を揺らしたエミリオはやっと私を目に映すもすぐに目を逸らす。ねぇ、なにがあったの?やだ、やだよ。


「寝ろ、寝たフリでもいい。部屋を出るな絶対に」
「え、ちょ、エミ、リ…」



ふわり、優しく、けれど苦しくなるくらいきつく抱きしめられて気付く。震えている、泣いてる、心で。ねぇ、話してよ、大事な部下だって言ってくれたじゃない。一緒に背負うって、私、言ったのに、なんで。


「エミリオ、」
好きだ。

「っ、」


耳元で囁かれた言葉に硬直した私から離れたエミリオは、振り返ることなく部屋を出ていった。


ねぇ、


忘れるなんて
できない



(こんなにも愛おしいのに)
(忘れられなくしてるくせに)

(ひどいひと。)


そして再び会えたとき、
彼は私達の敵となる




20130414

あれー…起承転結どこいった。
久々すぎて打ち方を忘れてしまった困った。

きっと続きます\(^O^)/

ひぐらのえ