笑った顔が好き。
優しい笑顔は、私の胸を高鳴らせる。
"リティル、"と名前を呼ばれて、声のした方を見る。白を基調とした服を纏う紅髪の男、彼は私の幼馴染みだ。彼の父と私の母が姉弟で、所謂従姉弟である私と彼は、同い年だからかいつも一緒だった。彼が騎士学校に入ってからは会うことも減って、忘れてはいなかったけれど、小さい頃のアスベルしか記憶になかったから久しぶりに会ったときは驚いたものだ。
「今日は、何を作ってるんだ?」
「今日はカレー、甘口のね」
後はルゥをとかすだけで、ぽとりぽとりと鍋におとす。くるくると掻き混ぜながらアスベルに応対すると後ろから覗き込まれる。
「アスベル、甘口好きでしょ?」
「あぁ、でも覚えてくれてたんだな」
嬉しそうに笑うアスベルに、きゅんとした胸を押さえた。彼は天然なのかワザトなのかわからないくらい、気障でカッコイイ。私は小さな頃からアスベルが好きだった。
アスベルの喜ぶ顔が見たくて、彼の好きな甘口カレーにしたわけで。だから笑顔を見れてすごく嬉しかったりする。置いてあった小皿にカレーを少し入れて、アスベルに差し出すと、きょとんとした顔で私を見た。
「味見、してくれる?」
「あ、あぁ、勿論だ」
其れを受け取って、ふぅふぅと熱をとり、口に含むと、アスベルの目がきらきらと光りだした(気がした)。うん、と頷いて、ふわりと柔らかい笑みを向けて"美味いよ"と言ったアスベルに、ありがとうと釣られて笑うと、頭を撫でられてじっと見つめられた。
「?、アスベル?」
「あ、いや」
「どうかした?」
こてん、と首を傾けてアスベルを見つめると、急に頬を紅くそめて右手を頭の後ろにやり、顔を逸らされた。
なに、なんだろう?
「アスベル?」
「いや、その」
「ん?」
ぱちぱちと瞬きをしていたら、決意したかのような強い瞳になる。この瞬間が好きな私は、嬉しくなったし、なんだろう?と気になった。
「いい、奥さんになるだろうなと、思ったんだ」
「…え?」
「ずっと、俺だけに料理を、作ってくれないか?」
どくん、と心臓が跳ね上がる。次第に早くなっていく心臓と紅くなっていく顔。顔も熱いし心臓もいたいし、少しの混乱で頭がぐちゃぐちゃ。
ぱくぱくと口を動かすも声は出なくて、アスベルが"駄目、か?"と不安気な声を上げて眉を下げているのを見て、ぶんぶんと首をふった。全然、大歓迎、いいよ、むしろお願いします!
「あの、あの」
「リティルに、傍にいてほしい、ずっと」
これはきっと告白なのだろう、いつもよりも真剣な声だから、アスベルから目がはなせなくて、逸らせなくて、
「うん、」
こくり、頷くと勢いよく抱きしめられた。ぎゅうぎゅうと痛いくらいの抱擁に胸がきゅうんと締め付けられる感じ。アスベルの腰に腕を回すと、ありがとうとアスベルの声。
「ありがとう、俺」
「ふふ、私アスベルのこと好きだったから、すごく嬉しい」
「俺も、リティルがずっと好きだったよ」
幼き日の続き
(リティル・ラントか、)
(ああ、あ、アスベル?)
(いい名前だ、)
20111116
暴走ベルベル
即興で打ったし眠気MAXなので意味不明すぎると思う←
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