夢の上〈1〉
多崎礼 著 (中央公論新社)

<翠輝晶>
アイナとオープの夫婦のラブラブっぷりには、ニヤニヤして心が温まります。
しかし、彼らの運命を想うと切なくなります。

オープが《影》の傷を負ったことにより、アイナも《影使い》になってしまったことに、彼は酷く悔やんでしまって…。
その彼を叱咤し前向きに道を示しているアイナが素敵です。何より、オープを信じて傍にいるところが、アイナという人物の魅力だと思います。
オープもアイナのことをとても大事にしていて…とてもお似合いの夫婦です。

彼らは最終的に亡くなってしまいますが、死に逝く様は晴れ晴れとしたものでした。
二人とも仲睦まじく、ヒトとして生きられない身体になったとしても、人として誇りをもって生きている姿に感動しました。
読者としては、彼らには生き延びて、アライスの立派な姿を見届けてほしかったなと思います。

<蒼輝晶>
飄々とした彼、アーディン。
『翠輝晶』初登場のときは、「胡散臭い奴が出て来た!」と思いましたが、この話を読んで彼のことが好きになりました。

身分違いの恋だとしても、イズガータとの恋が実ったらどんなに素敵だろうと思いましたが、そうですよね…。
そうなっちゃうんですよね…。
アーディンも自分の想いより、まず現実を見てしまうのですよ。

この本を好きになった切欠は、『翠輝晶』の内容だけではなく、この『蒼輝晶』があったからかもしれません。
同じ出来事を、別の人物の視点から描いた物語…。
今までこのような構成の物語を読んだことがなかったので、すごく面白かったです。

以上!

2013/07/06



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