出会いの夜 4
私の瞳に映ったのは白い刃。浅葱色の羽織。。。
助けてくれたの?
そんな甘い考えは一瞬で吹き飛んだ。
「ひゃははははははははははは!!」
暴力に任せて刀を振るう。
もう既に息の絶えている浪士を何度も何度も繰り返し斬って刺して突いて裂いた。。。
.............こんなの人間じゃない。
怖い。。どうしよう。。
「......逃げなきゃ。」
でも、すくんだ手足は思う様に動かず、私は木の板を倒してしまった。
「!?」
浅葱色の羽織を赤黒く染めた彼等が振り返り、目が合ったような気がした。
あまりの怖さに思わず目を閉じた。
_________________殺される!!
そう、思った時だった。
「え?」
いつまで経ってもやってこない痛みに目を開けると、代わりに私の目に飛び込んできたのはより鋭い白光とぴしゃり、と音を立てて広がる鮮血だった。
「あーあ、残念だな......」
その人の声はおかしげに弾んでいた。
「僕ひとりで始末しちゃうつもりだったのに。一君こんな時に限って仕事がはやいよね。ちゃんと言っておいたのに。」
「俺は務めを果たすべく動いたまでだ。あんたと違って、俺に戦闘狂の気はない。」
「うわ、ひどい言い草だなぁ。」
「でもさ、あいつらがこの子を殺しちゃうのを黙って見てれば、僕達の手間も省けたんじゃないかな?」
「その判断は俺達がするものではない。」
俺達がするものではない?
ということは、他にも人がいるのだろうか。
そのとき不意に影がさした____________
首筋に冷やりとしたものを感じた。
「運のない奴だ。いいか、逃げるなよ。背を向ければ斬る。」
彼の言葉に私は何度も頷いた。
________________私と新選組との出会いの夜。
これが、私の運命を大きく揺るがすことになるとは、この時の私は思っていなかった
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出会いの夜 4