出会いの夜 3
父様から連絡が途絶え、心配になった私は京の町に父様を探しに来ていた。
京の町は物騒だと聞くけれど、今の所そんな風には思えない。待ち行く人に道を聞くと、皆さん親切に教えてくれた。
京に着き、早速父様探しをはじめてはみたものの、一向にその姿は見当たらず、父様らしき人を見たという声もあがらなかった。
おまけに、頼りにしていた松本先生も今は留守にしていて、
見事に八方塞がりとなってしまった。
「今日はもう日が暮れるし、父様探しは明日にしよう。」
そう思い、私は宿を探す事にした。
良い情報がまるでなく、落ち込んでいたせいもあると思う。でも、声をかけられるまで忘れてしまっていた。
京の町は物騒なのだと。
「おい、小僧。餓鬼のくせにいいもん持ってんじゃねーか。」
「よこせ、お国の為に我々が使ってやる。」
「!?」
これは雪村家に代々伝わる大切な刀だ。絶対に渡す訳にはいかない。そう思った私は、全力で逃げた。
「おい!待ちやがれ!!」
彼等はなかなかしぶとかった。私は店に立てかけてあった木の板に身を隠し、彼等が去るのを待った。
しばらくして私を追いかけている時に聞こえた怒声も、足音も聞こえなくなった。
__________私、まくことができたの?
そう、思った時だった。
「ぐああああああああああああああああ!!!!!」
「畜生!やりやがったな!!!」
「ひ、ひひひひひひひひひひひひ!!!」
「ダメだ、こいつら刀がきかねぇ!うああああああああああ!!!」
「な、何?」
聞こえてきたのは男の絶叫と、何かわからない"人"の狂ったような叫び声だった。
刀を交える音も聞こえる。
_________________怖い。
私はただそれだけを思った。
でも何が起きているのか知りたいという感情もあった。
私は今起きている事を知るために木の板から顔を出してしまった。
出会いの夜 3