エース君、我慢の限界*




 コンコン。
 夜明け前、不寝番以外のほとんどのクルーがまだ寝静まっている中、エースの部屋に控えめなノックの音が響いた。普段ならどれだけ強く扉を叩かれようが目を覚ますことはないが、今回は別だった。ノックの後にか細い声で自身の名を呼ばれ、飛び起きる。


「エース……起きてる?」


 そっと扉を開けると、瞳を潤ませたギルが申し訳なさそうにこちらを見上げてきた。毛布に包まり、その先から素足が覗いている。どうやらズボンは穿いていないらしく、その倒錯的な格好に顔が熱くなる。
 なんとか危ない衝動を抑え込み、とりあえず今にも泣きだしそうなギルを部屋の中に入れ、一緒にベッドに座る。


「で、どうしたんだギル?何かあったのか?」


 出来るだけギルの生足が視界に入らないよう、不自然に目を逸らす。
 内またに座り、太ももをすり合わせながらギルはとうとうしゃくりを上げ始めた。
 

「え、えーす。おれ、どうしよぉ」


 上気した頬を滑り落ちる涙を指先でぬぐい、その先を促す。正直もはや限界ではあったが、めずらしく兄であるマルコではなく、自分を頼ってきてくれたのだ。ギルに想いを寄せる身としては何としてでも力になってやりたい。


「おれ、おれ、起きたら、何かへんになってて……」


 そう言って俯いてしまったギルのうなじを見つめながら、これはもしかして……と思い当たる節があり、ごくり、と喉を鳴らした。もしかして、もしかすると、これは据え膳というやつなのではないだろうか。
 毛布から除く白い太ももに手を這わせると、びくり、と震えて俺の手がそれ以上進むのを止めようと、弱弱しく手を握られる。そんな抵抗にもなっていない抵抗に、ジン、と頭の奥が痺れ、僅かに息が荒くなる。もう、これ以上は無理だ。
 ぐずるギルを抱き上げ、己の足の間に座らせる。目の前の金糸に顔をうずめ、そっとその足を割開いた。


「ぁ、えーす、見るな」


 ズボンだけだと思っていたが、どうやら下着も穿いてこなかったらしい。その事実に、下半身に血が集まるが、まずはギルが先だ。毛布でギリギリ隠されているギルのそこに指を忍ばせると、ぬちょりと、身に覚えのありすぎる白い液体がついた。
 他人にそこを触られた事にか、それともその液体を目にした事にか、ギルは首まで真っ赤にしてまた一粒涙をこぼした。


「ギル、コレどうしたんだ?」


 わかりきったことを、さも不思議そうに尋ねる。俺って結構Sっ気あったんだな、と内心呟いて、わざとギルに見せつけるように、親指と人差し指で粘着質なそれを伸ばしてみせた。
 わかんない、わかんない、と首を横に振るギル。


「わかんないって?」

「おれ、起きたら、何か濡れてて、それで……」

 なぁ、エース、俺って病気なの?

 長い睫毛を涙で濡らした何も知らないギルを、もっと虐めてやりたい。今すぐ組み敷いて、無理矢理犯して泣かせてやりたい。
 エースは、不安げにこちらを見上げるギルの腹に腕を回し、もう片方の手で毛布をめくった。










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