02
「隠れてたのかー。」
「そりゃ、見つからないな」
掃除用具入れを開けた男の肩越しに二人の男の顔が見えた。
3対1。絶望的だ。
「はいはい、出てこようねー」
ぐいっと腕を掴まれ引きずり出される。
卵の入ったビニール袋が後ろで落ちる音がした。
「や、やめて…」
掴まれた腕が痛くて、でも怖くて小さな声で言う。
どうしよう。なにか逃げられる道はないか。
どんなに考えても見当たらない解決策。涙で足元が見えない。
「泣いてるじゃーん」
「マジかよ。かーわい」
俯いた顔を無遠慮に覗き込まれた。
目を合わせたくなくて硬く目を瞑った。
それが気に食わなかったらしく、顎を強く持たれ顔を上に向かされ勢いよく唇を奪われた。
「ん"っ、ゃ、…ぁ、」
強引に口の中を掻き回され、クチュクチュと嫌な音が耳に届いた。
「、はぁっ……あ、ああ」
キスされてしまった。
初めてだ。翔庸以外の人にキスされた。
唇が離れると僕と男の間に糸が引いた。繋がっているのが嫌で嫌で、男の胸を力一杯押し、体を離す。
相手も気を抜いていたのか案外あっさり離れたので、逃げようと後ろへ走り出そうとするがもう一人の男によって阻まれてしまう。
「は、離して下さい!!」
最悪だ最悪だ
もう、ダメかもしれない。
僕はこの人達に犯されてしまうのかもしれない。
抑えられビクともしない体に抵抗を諦める。
部活もしてない、ただの放送委員の僕なんかの抵抗なんて意味ない。
誰か。助けて!
翔庸!!
ーガラっ
「っ!!しょ、…」
教室のドアが突然開いた。願いが通じたのかと喜んだのは束の間。教室の入り口に立っていたのは、儚く、綺麗な彼だった。
「残念でした。翔庸じゃないよ。」
そう言ってニコリと綺麗に笑う彼。一瞬おさまった震えがぶり返す。
「というか、まだヤってなかったの?」
僕から視線を外した彼は男たちを見やった。
「こいつ、隠れてやがったんですよ。今からですよ。今から。」
「や、やだ!離して!」
「てか、体育祭のメイド服マジ興奮したわ」
「俺も俺も」
男の手がシャツの中に入り込み、背中や腹を撫でまわす。
気持ち悪い!気持ち悪い!!
「面倒くさいから全部脱がしちまおうぜ」
「そうだな」
3人の生徒が次々に僕の服を脱がしていく。
そうして手がズボンのベルトにかかった。
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