快楽を呼ぶ悪魔 | ナノ

快楽を呼ぶ悪魔

08


……あれ?





「紳、手になんか書いてあるよ?」


視界の隅に、違和感を感じる。
ふと、紳の手の甲に目をやると・・・黒い字で【2】と書かれていた。


「あー。なんでもない」


紳が、数字が書いてある方の手をジーンズのポケットに入れた。
……なん、だろう?


考えていたら、ふと頭に疑問が浮かんだ。
あれ……?


今まであまり気にしてなかった。
でも、よくよく思い返してみると……。
昨日、お風呂場であたしに触れていた紳の手。
余裕がなくて、しっかり見てはいなかったから、自信はない。
……でも、


「昨日、【3】って書いてなかった?」

「……気のせい、だろう」


紳が吐き捨てるように言って、立ち上がった。


気のせい、なのかな?
あんまり自信、ないからなあ……。


「ほら、つかまれ」


紳が手を差し出す。


わーっ。
また・・・手、繋いでくれるんだ!!


「うん・・・っ、」


あたしは、差し出された手を握って、ゆっくり立ち上がった。


「・・・次あれ行くぞ」


ムダに幸せを感じているあたしを尻目に、紳が指さしたのは……。
お、お化け屋敷?


「絶対いや!」

「・・・は?いつも、本物の悪魔と一緒にいて、なにを言ってるんだ?」

「だ、だって……。とにかくいや!!」


逃げようとしたあたしの頭を、紳が掴む。
そして、胸元に引き寄せた。


「……っ、ふあっ!?」

「あずみ、俺、好きなんだ」

「へ……!?」


低くて、艶っぽい紳の声が、上から降ってくる。
す・・・好き!?
好きって、ま、まさか!紳が、あたしを!!??


呆然として、紳の顔を見上げるあたしに、紳はにこりと笑いかけた。


「・・・お前がびびって涙目になっているのを、見るのが」

「……は、はあっ!?」


思わず大声をあげて紳の顔を見ると、意地悪そうに笑っていた。


「まあ、本気で辛そうな顔は嫌いだけどな。……俺の中で啼いている顔とか、ジェットコースターでびびってる顔とか・・・そういう顔は、すごく好きだ」

「……っ、あ・・・」


・・・あれ?あたし、なに顔赤くしてんの?
紳、すごいどS発言してんのに!


「つーわけで。行くぞ」

「い、やだあっ……」





惚れた弱み、なのかな?
あたしは楽しそうな紳に、ただついていくことしかできなくなっていた。



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